テーマ: Ring Ring …





りんりん、りんりん



鈴を鳴らしながら

尻尾をピンと立てた猫が散歩している。

自分からは尻の穴が見える。うん、健康だ。


真っ黒い姿に、チラリと赤い首輪が見えた。

首輪の鈴がりんりん鳴っている。


機嫌良さそうな姿は

見ている側もほっこりさせてくれる。


可愛いなあ。

塀はちょうど目線の高さで、

もう少しで猫に追い付く。



通り過ぎる時に顔が見たいなあ。



ちょうど横に来たとに視線を巡らせると、

猫がころりと寝転がり、遊べとばかりに

手を出して来た。



この誘惑に勝てるものか。




うりゃ!と手を出してみたら

爪のない猫パンチが返ってくる。

あ、ヒトと遊び慣れてる猫だ。

首輪もしてるし地域猫かな?でも耳は切ってないぞ?


猫パンチで遊んでやり、耳の後ろをカリカリしてやると

ゴロゴロ喉を鳴らし始める。


人間への警戒心ゼロだ。



あれ、ひょっとして。




遠くから声が聞こえた。



ねろー、ねろ。ねえろちゃん、ちちちち。




これはなんかピンと来るものがあるぞ。




よしよしと撫でながら、ガバ!と抱き抱える。


猫は何?という顔をしたが暴れない。


間違いなく人間に酷いことされたことのない猫だ。



ねえろちゃーん。



声が遠ざかっていく、やばい。


慌てて声の方へ小走りになる。

首輪の鈴がりんりんなる。



とっとっとっと

りんりんりんりん



声の方角からして多分ここの道をこう曲がって。



てってってって

りんりんりんりん



手に毛布を抱えたおばあちゃんと出くわした。

すいませーん、ひょっとして猫探してます?



ビンゴだった。




飼い主さんから盛大にお礼を言われて

バイバイをしてさよならした。

善行をしたなあと心晴々と学校に向かった。





始業式が始まっており、先生から叱られたが、

心底しまった反省してますという顔をして

体を縮こまらせながら、

あの子が迷子にならなくて良かったなあ、

昼何食べようとぼんやり考えながら、

猫の手触りを思い出していた。






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