本が読みたいだけなのに

みんな死んでしまえばいい。みんな、静かになれないなら死んで心拍すらも鳴らさない肉人形に成り下がって仕舞えばいい。そうすれば静かに一人なんの邪魔も無く本が読めるから。


心に空いた空洞が埋まらなくていつまでも通販の欲しいものリストを手繰っている。だんだん暗くなっていく部屋に満ちるのは不安と一日何もせず眠っていた後悔だけ、僕は今日も本を買おう、本を買おうとばかり考えて読めないでいる。忙しい事を理由に楽しかったことが楽しくなくなる、そんな感慨が僕を動けないようにしている。


閲覧履歴を見て得る安心で如何に僕が人生を謳歌していないかがわかる。でもそこに全ての世界が広がっていて僕はまた動けないでいる。


なんも楽しく無いけどお前といても楽しくないんだよな。穴が開いて埋まらなくなっていくって言うか。もっと勉強しとけばよかったな。


涙はもう出ない。それだけ泣いたということ。


なんか寂しく無いけど悲しい。ふらっと死んでも誰も泣いてくれなそう。別に泣いてほしいわけじゃないけど、本が読めないなら死んだ方がいいけど今は読めるから生きる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る