5.決着(7)
彼方から勇者さまの呼び声が聞こえ来るようだった。
手足を固く縛り上げていた蔓の力が、急に失せたように感じられた。
蔓から解き放たれた身体が、すっと落ち行くように思えた。
ふと気が付くと、
どうやら、
「あ……、あれ?」と、朦朧とした口調にて勇者さまへと語り掛ける。
「良かった、本当に良かった……。
この場は引きましょう!」
囁くように告げた勇者さまは、
勇者さまにかき抱かれたまま、
賢者さま、そして戦士さまも勇者さまと並んで駆けていた。
空はすっかり夜の色を湛えていた。
濃紺の夜空には星が瞬きつつあるようだった。
辺りから響き来るのは風の音だけであって、つい先程まで地を満たしていた不死者どもの呻き声は露ほども聞こえなかった。
安堵の念を抱いた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます