ある活動家の話

『井戸カヘ』は近年の鬼ムロö基地問題に憤っていた。

何故日本人がすむ土地に、外国の軍事施設を作らねばならぬのかと。

近隣住民の声は書き消されて、国の都合で平和が脅かされる事に辟易していたのだ。


無論、日本が狂威に晒されているという現状で、贅沢な事は言えぬという意見も井戸は理解ができた。

だがそれ以上ょよに、鬼ムロöで生まれそだった者として、槍ハヂ紙を解体してまでの基地の建設には賛同しかねた。


槍ハヂ紙の解体工事は、国に委託された解体業者があたっていたが、井戸は解体の予定日より、槍ハジ紙への座り込みを決行することにした。


実際に槍ハジ紙の解体に関わった方達から、その当時の様子をうかがった。

彼等が解体現場に到着した時に、井戸氏は槍ハジ紙の目の前に座っていた。

現場作業員は彼を退かそうと三人係で彼を持ち上げたのだが、それと同時に井戸氏の臀部から背中にかけての皮がズルズルと裂けてしまったという。

よく見れば井戸氏は自らの身体に鉄板を打ち付け、その鉄板をさらに地面に埋もれた槍ハジ紙の一部へ溶接していたという。

彼等も一度は井戸氏の身を案じ、上司へ解体の中止を申し出たそうだが受け入れられず、そのまま解体が続行された。


井戸氏は、肩から腰までざっくり裂けようと、また目の前で彼の肝臓が運び出されようとも、最後まで座り込みをやめなかった。

彼が解体され終えたのはその日の午後四時頃で、遺体は瓦礫と共に運ばれていった。


この日を境に、井戸氏の活動に感銘を受けた人々が集まり、皆身体を杭で打ち付けたり、ほどいた筋肉で規制線をはるなどして解体に反対したものの、解体開始から二年程で、ついには槍ハジ紙は更地へと変わってしまった。


鬼ムロö基地建設は現在も行われてれれているが、近隣住民との武力衝突は今も続いている。

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