第57話


話が違う、とアガラは思った。


「対処してくれるなら全部していってよ・・・」


と愚痴る。


あの厄介な女はちゃんとこの世から消えたみたいだったけど、置き土産が半端なく面倒くさい。

・・・優里亜にはもうちょっと待ってもらわないといけなくなっちゃったし、それを伝える術は無いしで若干イラッとしてコントロールが乱れる・・・くそっ!


傍に居る兄は正直あんまり役に立たない・・・経験値が違う上にチビのままだし。


「・・・兄さんさぁ、魔石とか持ってないの?」


イライラの吐け口がそこしか無いので完璧な八つ当たりである。

が、我慢できないので当たっちゃうのだ。

・・・弟からの甘えってことで1つ。


「魔石?あるぞ」


「え、あるのかよ・・・」


じゃあ、使えよ!としか。


ご都合主義かよ!って思ったけど、クロエ姉とサウロ兄がめっちゃ良い働きをしてただけだった・・・渡して終わりな所があの2人らしいけど。


取り敢えず兄にはそれらを一旦全部食して貰う事に。

・・・だってぶっちゃけこのままの方が作業効率悪いから。

今までほぼ寝てただけの兄の実力マジポンコツなんだもん。


「これ全部食べたら多少はマシになるから!」


「・・・まずい」


うん。

だってそれ、まごう事なき石だからな。

しかもすんごい頑丈なタイプの石だから・・・


「顎が・・・」


はっはっは。

力を得るには何かしらの犠牲や努力がつきものなので。

自分と俺の為に頑張って欲しい。


無事帰れたら・・・嫌、帰るんだけど。

クロエ姉とサウロ兄に絶対お礼言う。

この魔石のお陰で大分未来への展望が明るくなったからな。

こいつが魔石を完食するまでに俺は出来るところまでなる早で済ませていきたいと思う。

・・・早く、会いたいよ優里亜。






「うあー、ヤバくない?これ」


「何がなんだか」


「取り敢えず水の神暴走って事でオケ?」


って言っても、それしかわかんないんだけどね。


この地はもう砂の所を踏めば、ずずずっと下に埋もれていく感じで歩くのも困難になっちゃってるのよ。

言うて一定の所からは下がらないから頑張れば這い出れるんだけど移動が難しいのがね。


「ユエン、起きないねー」


「こんだけ叩いて起きないんだから神的に何かしてるんじゃないのか?」


「ボッコボコ過ぎて引くわー」


・・・違うもんっ。

心配で起こそうと思っただけで、ボコボコにするつもりなんて無かったんだもん。


・・・両頬が真っ赤に腫れてる顔は極力見ない振りである。


「ねー、一回帰ろうよぉ〜。意識無いユエンを抱えての移動は現実的じゃ無いし」


「そうだな。周りの様子も気になるし」


ユエンが意識不明。

ソウちゃんは何かを回収して帰っちゃったし。

俺ら蚊帳の外過ぎて訳わかんないから神繋がりのミリアとアグ坊に話聞きたい。切実に。


「俺も付いて行くわー」


ユーダイも同意してくれたんで、一旦帰国する事にした。






「いやいやいや!」


「待て待て待て!!」


「「「あ!」」」


いつの間にか来てた宰相と皇帝に待ったを掛けられて、そういえば今交渉中だった事を思い出した俺ら。


「あ、では無いわ!水のが居なくなったのはほとんどの者が見ておる・・・こんな国の惨状では新興神を受け入れた所でどうなるともわからんが、少なくともこれ以上悪くならんだろう」


まあ確かに?

と言う事は同意するって事ですよね。


「えーっと・・・ベル、ベル」


「じゃあ、改めて宣言して貰って良い?」


皇帝様、お願いします。


———コホンッ。


「アルドレイク・ドン・ファント・レイファン聖皇国は新興神ミリアと一時契約を締結する!」


チリン、チリン、チリン、チリン・・・


ちょっと身構えますよー。


「「っ!?」」


クロエが振ったベルを中心にブワッ!と風が巻き起こり、この国に結界が張られた事を確認する。


「後はー、この祠を建ててお祈りすれば国の中だけだけど魔法が使えるようになるよー」


結界は張られたけど、流石に砂が再生?するなんて奇跡は起きなかったよ。

でもまあこの魔法が使えれば生きてはいけるだろうから。うん。


正確には“スキル”だけど、お伽話にも出てくる“魔法”で説明した方が皆の理解度が良いからさぁ、旅中はずっと魔法で説明して来た私達です。

そっちの方が受け入れやすいのかな?


取り敢えず説明の為に1つずつ行使して見せてみたよ。



「・・・そうか・・・頑張る」



何か大人になるに連れて恥ずかしくなるらしいんだよね、これ。


うちの国では子供も大人も関係なく楽しんでやってたけど、他国ではどうも抵抗あるみたいなんだよね。解せぬ。


「楽しいのにねぇ〜」


「ちゃんと自分で出来てる感が癖になるんだけどな」


まあ、頑張れ。

ほぼ何にも無くなっちゃったから色々な種とかは餞別であげて来たよ。


皆に広げるのはそっちでやってくださーいっ!!

やる事やったんで、早々に出国して来ました。




・・・いやあ、マジびっくりだよね。

道中、水と言う水が枯れ果ててるんだからさぁ!


これ、ミリアと契約しなかった国とか絶対終わってるよね。


川も、海も、湖とか山の湧き水とかもぜーんぶっ、枯れてた!


そして道中1回も雨降んなかったよ・・・。


案の定、滅んでる所も少なからずあったけど、少数でも契約した人達に助けられてかろうじて残ってるって人が大半だったから改めて契約し直したよね。

じゃないと人類詰む。真顔。


・・・ミリアは1人で世界を制覇するんじゃなかろうか?

まあ、これって仮契約だからそれは無いのか?

でも現状、水が欲しければミリアと契約するしか方法は無い訳で・・・。


ふっ、まあこれは私達には関係無い話だよ。

任されてた仕事はほぼ終わったようなもんだし、相変わらずの旅行を楽しむよ。


・・・国に帰ったらまずは弟か妹かに会って癒されたいな。

ちょっと疲れちゃったよ。


一応各国は周り終えたし、帰国したらサウロとしっぽり新婚生活を楽しむのも有りかも!

生まれてるいっぱいの赤ちゃん見たら、私もサウロとの子供欲しくなるかもなぁ。へへっ。


未だ起きないユエンの事は心配ではあるけれど、寝てる様は健康体そのものだし、神様だし?

取り敢えず任務は終了!


これから世界がどうなっていくのかは正直わかんないけど、私にどうにか出来る規模な話でも無いし。

一段落した後、またサウロが旅したいって言い出したらまた何かしら理由付けして旅出てば良いよね。


目標、ザカール国!!

故郷を目指して全速前進〜〜っっ!!!!


・・・だから、心細いとか未来が不安とか言って帰国妨害するの本当止めて欲しい。

帰りの道中、そういった国のお偉方を捌くのがマジ大変過ぎてちょっとうんざりしちゃったよ。

知らんがな〜〜〜〜っっ!!

って声を大にして叫びたい衝動に何度駆られた事か・・・。

我慢、したけどっ!!

・・・帰ったら一時は出なくて良いと思うよね?


「思いますっ!」


「異議無し!」



———クロエのイライラ度はマックスに達していた。















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