第43話
「おー、こんな所に家が?」
「・・・家?」
「ただの草の塊に見えるけど・・・」
散々な言われ様に
「うるせぇっ!!ちゃんと人が住んでるわ!」
と草の塊の下から怒鳴り声と共に突然人が出て来て、ユエンとクロエは盛大にビビって反射的に数歩後ろに下がった。
「ほら、ちゃんと家だっただろ!」
サウロには何がどう見えているのかと2人は心底不思議だったが、実際この髭もじゃはここに住んでいてちゃんと生活している様である・・・生活って何だっけ?
「それでお前ら、人ん家の前で何なんだよ。また何かの勧誘か?」
俺はもう絶対に国になんか協力しないからな!
と吐き捨てるこの髭もじゃは、ミリアと同郷の召喚勇者様の1人である。
・・・そして、1人でスタンピードを壊滅させたのに怖がられて孤立してしまった哀れな御仁でもあった。
「困ってるって言うから気合い入れて頑張ったのにさぁ、手のひら返して“化け物”呼ばわりだぜ?やってられっかー!!」
大層ご立腹である様なのだが、自分達の用事的には関係無いのでそこはスルーで行きましょう。うん。
「髭もじゃ、困ってる事あるか?」
「髭もじゃっ!?」
代表して相手に一切動じて無かったサウロがストレートに聞いてみた。
クロエはどストレートだなぁ、と思った。
説明明らかに足りてないから相手も何を聞かれてるか理解しないんじゃ無いかな?
ユエンは見たそのまま言うんだ、と思った。
いや、内心では凄く自分も思っていたけれども・・・本人にそのまま言うのはくっそ失礼だよね?
一人、空気が読めてないサウロがここでさらに口を開いた。
「それでさぁ、出来たらその草の家の中見たいんだけど!」
超楽しそう!!とワクワク感満載でそう言うと
「っざっけんな!!!とっとと帰りやがれっ!!!!」
盛大にブチギレられた。
「・・・えーーー、何でだ?」
心底わかって無さそうなサウロの後ろで2人はさもありなん、と思って見ていた。
いや、明らかに失言の連発だったからねと思ったけど、サウロに一切の悪気が無いのは分かっていたので何にも言えないでいた。
実際、家は草だったし、見た目はそのまま髭もじゃだったしな。うん。
———映えある第一回、第一交渉は失敗に終わってしまったのであった。
怒らせてしまったので、少し離れた所でキャンプを展開する。
「まあ何日間か交渉継続してみようよ」
「あれを家って言うんだからかなり困ってそうだよ」
こしょこしょ話つつ、焚き火を3人で囲みながら夕食の準備。
「今日は〜〜」
ゴソゴソ。
カバンを漁るクロエに男2人はソワソワした。
あの中から出てくる料理はマジで美味しいので。
「じゃじゃ〜〜んっっ!“カレーライス”です!!」
相変わらず、見た目は悪い。
けれど本当に匂いだけは最高に美味しそうなのが謎過ぎる!!!
「カレー、、、だとっ!!?」
大声で髭もじゃ再登場。
何か、巣穴みたいな所から勢いよく飛び出して来たよ。
「・・・まあ取り敢えず。食べたら考えよう」
「賛成っ!」
「この匂いがっ、たまらん!」
「おかわりは自分でよそおってねーー」
「うおおおおぉぉぅっっっ!!!」
一人の号泣者追加で晩御飯争奪戦が幕を開けた———戦える系3人がオラオラしている間にコソコソとひっそりおかわりをしていたユエンが一番食べられたのは言うまでもない事である。
同じ釜の飯を食った仲として急速に仲が良くなった———訳では無く、只単純にプレイヤーが地球の日本の食事に落とされただけだが“髭もじゃ”改め、ユーダイはあっさり拠点を捨て、3人に同行する事にした。
勿論目当てはクロエの持つアイテムバッグの中身である。
因みに、捨てる前に家の中を見させて貰ったが、見た目通りの草の塊であったとしか・・・あれで良く家とか言って住んでたな、と思ったけど言わないでおいた。
気まずくなるだけだしな。
スタンピードを一掃した後は腫れ物の様に扱われるのに嫌気がさして誰もいないこの森に逃げて来たそう。
・・・衣食住保証の代わりに給金が出ない制度でお金も無いから着の身気のまま出て来たらしい・・・世知辛いな。しかもセコイ。
せめて褒賞位出してやれよ、と3人は話を聞いてて思った。
その国は、“水の神”を讃える“聖皇国”って言う所らしい。
そこの国の救済はまあ、最後で良いんじゃないか説を押したい。
実際ユエンも凄い顔してたしな。
神評判良くない神は厄介だよ。
その神様を讃える集団も結構厄介なんだって。
“狂信者”?はうちにも居るけどねー。
話に聞く限りあれよりも酷いらしい・・・。
まあ、嫌がったら助けなくても良いってソウちゃんも言ってくれてた事だし。
気楽にGOだよ。
次に向かうの先は・・・棒倒しで決めるのだーーー!
これには意外とユエンがハマってやっている。
・・・神様のい、う、と、お、り?物理。
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