第28話



〜ユエン(月の神)サイド〜



突然何の前触れも無く急激に力が抜けてそのまま眠りについた。


起きたら小さくなっていたけれど、力の放出は止まっていてこの姿で安定していた・・・何が自分に起きているのか調べないとな、と思った矢先に別の神からのパーティーの招待状を受け取り良い機会だと久しぶりに参加してみたんだけど。


「ふむ」


以前会った時と印象が違う神がちらほら居た。

一番顕著なのは水の神かな。

明らかに自分を見下して嘲る姿に首を傾げる。

・・・小さくはなったけれど、私と彼女とでは明らかに存在値自体が違うのに。


「いや、彼女のは只単に好みの問題ですよ」


自分の質問を全てのらりくらりと流すこの神もまた、私を軽視・・・というよりは


「失望?」


「あはは、そうですねー」


笑っているが笑っていない、でも


「言う気は無いと」


「ですね〜」


彼女のこの諦めた顔の方がキツイなぁ・・・。

私は一体何をしてしまったのだろうか。

彼女に以前会ったのは眠る少し前だった気がするけれど。


「父上に相談するしか無いのかな」


他の神からは情報は得ているが、いかんせん原因がさっぱりなのだ。

しかし、このままの現状が続けばいづれ私達は皆力が弱まり最期には消えてしまう可能性が高い。

最高神である父上からの使命にも影響が出てしまう。

それは絶対に避けねばならない事案であるだろうと呟いた。


「はっ」


ああまた、彼女からの自分への評価が下がってしまったらしい。

彼女は鼻で笑った後、こちらを振り返る事なく颯爽とこの場を去って行ってしまった。



———父からの使命とはこの星の存亡。


受けた時は単純明快、何とも簡単な使命なんだと思っていたけれど。

いざ問題に直面すると、原因さえ掴めない低落振りに乾いた笑いしか漏れない。


自分に星のログの閲覧権限があればまだ良かったのかもしれないけれど、アクセス権限を持っているのは父上のみである。


父上には怒られるかもしれないが、まだ下級神が徐々に消えていっている程度の被害なのだ。

まだ巻き返せる、と意を決して父親に対面する為にさらに天に登った彼は知らない——————・・・怒られる処か呆れられ、助言も何も得られずに天から追い返される事となるとは。


・・・彼が自分の相方の太陽神の事を思い出すのは未だ遠い未来の事なのかもしれない。






〜父上こと、最高神サイド〜



久しぶりに会った息子を見て内心がっかりした。


・・・全然育って無い所か劣化したんじゃ無いのかって位無能に成り下がっててマジワシびっくり。


勿論、見た目とかじゃなくて中身の話じゃよ。


正直ワシ、何人もの子供が居るから逐一成長を見れていたわけじゃ無いけどこれは酷い。


星1つ任せてみたけど時期尚早だったのかもしれん・・・当初は自信満々だったんだがのぅ・・・。

蓋を開けたら、“何にも分かんない。パパ助けて〜〜“は寧ろ笑う所じゃったかもしれんのう。嘲笑。


生まれたてだったなら未だ可愛いと思ったかもしれんが、あの歳で言われるとゾッとしたわい。

勢いで追い出したが、まあどれ星の記憶でも見てみるかの・・・。




・・・ふむふむ。想像以上に酷い出来じゃ!


って言うか、何処の星から人を誘拐してるんじゃ?


確か三番目の子らが何か嘆いていた気がするのじゃが・・・。


助ける所かこれを知ったら上の子らに潰されるんじゃなかろうかのう?

言うべきか言わざるべきか、悩みどころだの〜。

取り敢えず星の穴は修正しといてやるかの。


まあ、一緒に送ったアガラの方は最初は酷かったようだが、まあ子供の悪戯程度だしの。

ちゃんと反省してちっとは成長しとるようだからこちらは様子見で良いじゃろう。


・・・水のは・・・居なくても良いのでは無いだろうかのぅ?

立場も弁えず、こやつの所業は目に余る。

ワシ、普段は本当に温厚な方なのじゃが。

久々イラッとしちゃったわい。てへっ。

ついでにまんまと付け上がらせたユエンにもお仕置きが必要じゃろうて。


・・・まあ本人も言うておった通り、この星にも未だ猶予はあるのじゃ。

異世界転移して来た者には気の毒じゃが、もうすでに魂はこちらに縛られておるので戻すのは無理じゃの。

イラッとしついでに、三番目には連絡しといた。

星のログ付きで。

怒じゃったよ?

弟達の無能っぷりに呆れておったの。

しかし


「うちの星の者が末弟の慰みになったのならまあ、行幸か」


彼らが星を渡った意味は確かにあったのだろうのう。


なんせ、星の管理は神の成長を促すための装置であるが故に。


「アガラは彼女のお陰で成長しつつある・・・勿論それまで支え続けた民の力もあるだろうが・・・天では気づかなかったが、ユエンはポンコツだったのだな」


三番目は言った。

弟の成長の兆しがあるのでこちらから星に手を出すことはしないが、何らかの形で報復はする、と。



「それで、この“水の“はどうするんだ?何なら、こっちに送ってくれても構わんのだが」


と催促されたのじゃ・・・ワシも胸糞じゃったから思わず彼奴等の約束は勢いで破棄しちゃったのじゃが、まだまだチクチク嫌がらせしたいのじゃ。


「最期の残り滓でも良いから一枚は噛ませてくれよな」


「オッケーじゃよ」


・・・さてさて、この後ユエンはどう動くんじゃろうな。

子は沢山居るのでの。

最悪消えてしまっても特に問題無いのだが、ここから巻き返せる可能性も・・・無いかの?


3番の星のミリアちゃんには感謝じゃわい。

このまま2人で末長くやって欲しいものじゃの。ほっ、ほっ、ほ。




・・・もしこの2人に外部が何かするようなら・・・ぷちっとやっちゃうかもしれんがまあ、自業自得じゃて。










———ミリアちゃん、知らない所でマジ安泰になった件ぇ。


その頃・・・


「っくちゅんっ!・・・ずずっ、、、誰かが噂してるのかなぁ?」


「?」


「いや、くしゃみの回数で何か意味があったかなって話だよ」


「??」


と言うやり取りが行われていたかもしれない。









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