第15話
〜某国のとある下街にて〜
チセ、平、ダイゴは拠点は手に入れたものの、手持ちはすっからかんで日々暮らして行くのにもギリギリの生活を送っていた。
「こんな事になるならあっちで色々買っておけば良かったー」
「ゲームではオプション的扱いだったもんなぁ・・・」
「生産職プレイヤーが居なかった所為で味に至っては並だったし、空腹ペナルティーとか無かったからそりゃあ誰も買わんだろ」
ゲーム時代・・・と言うか、日本が恋しい・・・。
特に食にうるさいと言われる日本人だ。
地球の食べ物が恋しくてゲーム時に必要無かったからと買ってなかったアイテム諸々に未練たらたらで愚痴る日々を送っていた。
慎重に慎重を重ねて冒険に繰り出していた彼らだったが・・・、毎日の似たような繰り返しの日々と、実地経験が足りなかった故の僅かな隙を突かれてある日ダイゴが魔物にパクリ、といかれた。
大絶叫と、無我夢中で魔物を倒した2人だったが、喰われたダイゴは当然帰ってこない・・・。
絶望と自己嫌悪に苛まれた2人は幸い生存本能が働いたのか、いつ帰り着いたかも記憶に無かったが・・・いつの間にか自分たちの住処への帰途は果たしていた。
茫然自失と言った体たらく振りであったが・・・。
「・・・そういえば」
只の現実逃避だった。
「俺らってテイムモンスター枠?だったじゃん」
テイムアナウンスは確かにその時流れたし、チセのテイマー専門の回復術にはお世話になってたけど、特に送還とかされないし俺たち自身のステータスには何の変化も無かったから。
「・・・確かめるの、怖い、ですっ・・・」
ダイゴが言ってたみたいなテイムモンスター特有の効果があるのかなんて今まで試す機会も無かったし・・・。
———召喚主さえ無事なら再度また呼び出せるって言う例のアレ。
今のチセのステータスには良くも悪くも、何かしらの変化はあるはずだった。
召喚枠から“ダイゴ”の名前が消えてたらもう終わりだけど、もしまだ名前があるならワンチャンの希望がなくも無い・・・。
怖い、と震えて泣くチセに俺も同じ立場だったら泣いてるな、と思った。
今俺の心が静かで頭が冷静なのは、只単純に現実が飲み込めて無いからだ。
・・・飲み込める自信なんてこれっぽっちも無いけど。
茫然自失な空白時間を2人でどれくらい過ごしただろうか・・・。
しかしやはり、女はいざとなれば強い。
意を決したチセは自分のステータス欄を確認した。
name:チセ
種族:人間
職業:テイマー
・
・
・
「・・・・・・」
震える指で必要な所以外は完全無視で飛ばし見ていく。
・・・ごくりっ、とどちらの喉が鳴ったのか・・・静寂の中に大きく音が響く。
(・・・無い、無い、無い・・・)
1字1字確認したが、契約テイマー表記の所に“ダイゴ”の文字は無かった・・・
「あっ!」
「っ!?」
いや———・・・あった!!
契約獣記載枠の最後から一行空けた場所に
ダイゴ【死亡ペナルティー発動中】
と出ていた。
そこを躊躇いなく押す。
【再召喚を実施しますか?】
「っ!」
勿論、即“イエス“を選択。
「「っっ!!」」
カ——————————ッッッ!!!
と部屋を光が満たし・・・
「っ、ダイゴさんっっ!!」
「ダイゴっ!」
目の前に目は瞑っていて寝ている状態だけれども、確かに胸が上下してて息をしている五体満足状態のダイゴの姿が現れて・・・俺らが泣き崩れ、喚いたのは言うまでも無い事だった・・・。
「おー・・・?俺、あんまりちゃんと覚えて無いんだよなぁ」
だって突然真っ暗になったな、と思ったら気づいたら何か買った家の玄関入ってすぐの床に寝転んでいて、肝心の2人はべちょべちょ顔で自分の両側で泣きじゃくっていた訳だし・・・と漸く落ち着いた2人から事情を聞き出したダイゴは、そう言ってポリポリと頭を掻いて困ったように笑った。
泣き止むまで辛抱強く待っててくれたのはありがたかった・・・。
いやでも、無理だろ。
目の前で確かに魔物に呑まれる所を目撃したんだぞ、俺ら。
感情が爆発して、上手くコントロール出来なかったんだからな、マジで。
3人で改めて色々話して確認した所、ダイゴには特に損失は無かった。良かった。
それ以前の記憶はきっちり覚えていて、食べられてからの記憶だけが丸っと無い状態だった。
後、チセのスキルボードにあった“ペナルティ”ってのは、ゲーム時の時と同じで全ステータス半減だった模様。
それも一定時間待てば解除されるらしい・・・テイマースキル最強かな?
「まあこれで言ってた仮説は見事的中だったな」
はっはっは、と何も分かってない顔で朗らかに笑うダイゴに
「もうやるなよ」
「心臓千切れるかと思った」
俺らは真顔でダイゴを詰めた。
「いや!俺ももう、死にたくはねーし!今回も不可抗力だっただろ!?・・・ってかお前らの黒目がまじ死んでんだけどっ・・・ヤンデル化してんじゃねーよっっ!!」
ダイゴのビビリっぷりに2人して解せぬぅ・・・となってしまったのは致し方無いと思う・・・いや無事に生還出来たとしても、今後は本当に気をつけてくれよ、と本気で思ったのは仕方ない事だと思うけど?
其の後、死んだら元も子も無いからと虎の子で取っておいたポーション類をチセ用に5本残した後の全てを改めて商業ギルドで売って・・・死んでも最悪、チセのスキルで復活可能なのを確認出来たからなのが一番大きいが・・・お金に変えて、日々の生活資金プラス最近冒険者に戦い方を習ってるって言うおっさんに混じって自分達の鍛錬も依頼する事にした。
格好が立派でイケメンだったから、直ぐにお互いプレイヤーだと認識したが敢えてお互い余り接触はしなかった。
俺らは偶にはフィールドに出たが、そのおっさんは戦い方は習うものの、決して外には出ようとしなかった・・・事情?聞かないよ、どうせ碌な事にはならないし。
お互い我関せずで過ごしていたある日、不安な噂を聞くことになる・・・。
別の国の話ではあったが、勇者が居たにも関わらず滅びた国がある、と。
ギリギリ生き延びた国もあったけれど、今までの比で無い位に国も人も大打撃を受けた国がある、とか。
その中には某小説のお話みたいな勇者のみで片付けた、とか言う話もちらほらあったが・・・少数でもそんな俺TUEEE現象起こしたとかマジすげぇな・・・でも大半が国に大ダメージ的なヤバイ話で、あのおっさんの反応を見る限りではこの国にはそんな超人はいなさそうではあったけどな。
俺らが出した結論は何処に逃げても結局は一緒じゃん、と言う事だった。
今更無事だったって言う国逃げるってのも非、現実的だし。
最悪チセさえ生きていれば俺らって安泰な訳だしな。
と言うことで3人で話し合った結果、あのおっさんを仲間に引き入れる事にした。
・・・突然の謎展開?
いやいや、ちゃんと話し合った結果です。
と言うか、明らかに魔法使いですなおっさんに用がある。
と言うのもチセをどうやって生き残らせるかって話に当然なる訳じゃん。
買った家の地下に深いシェルター作って当日そこで過ごして貰えば良いんじゃん?って話になって・・・冒険者はどんな等級の者でもスタンピード時は全員協力義務が発生するらしいが1人の不在位は何とか自分らでフォローできるだろ理論で何とか押し通す腹づもりである・・・で、そのシェルターなんだけど。
最初はチセの召喚魔獣で掘ろうって話だったんだけど、今喚べる召喚獣には土を深くまで掘れるような魔獣がいなかった。。
じゃあ3人で掘るかってなるかというと、そんなの現実的じゃあ無いわけで。
で、あの魔法使いのおっさんである。
多分お互いwin-winなんじゃ無いだろうか、と言う話し合いの元即勧誘・・・いや、チセはちょっと抵抗してたけどな・・・。
まあ側から聞いたら同種の人間をテイムって非人道的だし。
・・・因みに、俺らから話を聞いたおっさんは即陥落。
チセも往生際悪く抵抗していたけれど、べっちょり涙に塗れたおっさん顔に迫られて・・・詰められて?渋々・・・超、渋々テイム化。
いやチセ、流石に俺らも人は選んでるから。
・・・嬉々としてテイムしてこようとする奴が居たらそれはそれで嫌だろ。
「俺はチセだからテイムされたんだ」
キリィッ、として言ってみたが
「嫌がる女性に無理強いしておいて、ドヤ顔決められても」
チセはとっても辛辣だったが、その通り過ぎて男3人で撃沈した・・・。
「いや、巻き込まないでくれないか?」
「勝手に1人で爆死しておいて」
男2人からも見捨てられた・・・しくしくしく。
まあぶっちゃけ素直に、新たなるテイムモンスター?GETに、じっとり目で恨めしげな君だからこそ、逆に安心して身体を預けられるんだよ、とはさっき撃沈したのを教訓に口に出しては言わなかったけど、少なくとも俺とダイゴはそう思ってると思うよ・・・おっさんは知らんけど。
おっさんは直ぐ様、頑丈な地下シェルターを作ってくれました。
ありがとう、ありがとう!!
おっさんグッジョブ!
生憎、おっさんも勇者時代?に冒険者登録はしていて、スタンピードには参加しなくてはいけなくて絶望していたそうだ。
訓練しているとは言っても、所詮付け焼き刃だったのは明らかだしな。
俺たちの勧誘は渡りに船だった訳だ。
チセも怪しまれ無いように現場配属までは一緒に行動して、開戦間際にテイムモンスターとの位置入れ替わりスキルでシェルターに転移する作戦で全員解釈一致した。
街の人が先の不安で喧騒する中、一応の解決策を見出した俺らは普段通りのコツコツ冒険に戻った。
普段の日常であったなら目立たなかっただろうが、皆が浮き足立つ中通常業務に戻った俺らはかなり目立っていたようだ。
「で?」
「さっさと吐きたまえ」
にっこり×2人のギルド長・・・あの、ポーションを売った商業ギルド長に冒険者ギルド長に詰められる俺たちは現在ガクブル中である。
海千山千のギルドの長に勝てるか?
絶対無理だろ。
俺らは早々に白旗上げて、ゲロった。
・・・チセには睨まれ、何なら足を無言でグリグリと踏まれながらも正直にあの作戦とも言い難いが、俺らが考えた“死なない方法“についてぺろっと喋ってしまいました・・・いや、だって、無理だったじゃんっ!?
「ふむ」
「時間がねえな・・・」
え、なんか話を聞いた2人が熟考しだしちゃったんですけど・・・あれ・・・もしかして、もしかしたりするんだろうか、この流れ。
「嫌な予感しかしない」
チセさんも何か良くない雰囲気に気づかれた模様。
チセが怯んで1歩下がったが、それで2人が逃してくれる訳が無かった・・・。
——————・・・チセさん再び大絶叫の巻。南無!
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