第13話



〜アデルサイド〜



もうもうもうっ!


本っっ当に、ミリアちゃんてばすっごく可愛くてすっごく凄いの!!


偶に、はっ、として「大人です」って言ってくる所も可愛らしいわよね。

断然子供が欲しくなっちゃったわぁ〜。


コロコロコロ・・・


「フニフニ〜〜」


床が柔らかいって最高ねっ。

今までは固い土の上に絨毯を敷いて生活していたけど、これを知っちゃったらもう元の家には戻れないわよね!


「ははっ、またやっているのか」


「ラカンも一緒にやるー?」


くすくすお澄まし顔で笑う旦那様をてしてしと隣スペースを叩いて誘う。


「うーん・・・そうだな、やろうかな」


折角の奥様のお誘いですし?と乗ってくれる所がラカンの良いところなのよね。

勿論まだまだ良い所はたくさんあるんだけど!

それは私だけが知ってれば良いので、内緒よ。くすくす。


2人できゃっきゃと言いながらコロコロ転がってこのまま寝てしまう事もしばしばよ。




・・・鎖国をして、こんな穏やかに日々が過ごせるなんて思って無かったわ。



旅の道中一番の憂いだった塩や水問題に光明が差して、皆があの宴で泣いちゃった。

皆表では気丈に笑ってたけど、ずっと張り詰めてたの知ってたわ。


だから、一部の人が狂信化しちゃうのも無理無い事だけど・・・それでミリアちゃんを困らせるのは違うと思うのよ、にっこり。


たまーにミリアちゃんを連れてお散歩するのはこの辺のガス抜きも兼ねてるの。

勿論私がミリアちゃんと一緒に遊びたい気持ちは嘘じゃ無いんだけど、姿を見せないミリアちゃんの所に押しかけそうな勢いを感じちゃうから・・・はぁ。


一番冷静だったホセがその筆頭なのが正直頭痛い所よ。



お散歩ついでにミリアちゃんの紹介がてらお留守番組だった奥様達の所へも足を向ける。

いらない心配してる人も多いから。

ミリアちゃんを実際に見ちゃえばそんな心配するだけ損だって理解できるんだけど・・・いかんせん殿方って言葉足らずだし、そんな旦那がべらぼうに持て囃す“女”ってなると目くじら立てちゃうわよねぇ、うんうん。


ミリアちゃんは全然気付いてないし気づかないままでいて欲しいわよね・・・実際皆会ったら戦意喪失・・・と言うか、自己嫌悪で一回全身砂に埋もれたくなっちゃうから。

しかもふんふん戦闘体制でいざ会ってみたら思った以上に幼女だし、自分を見て「わああっ、すんごい美女だぁ〜〜!!」って大喜びされるから毒気が抜かれちゃうって言うか・・・私この子と張り合うつもりだったの!?ってなる。


まあ、実際別の意味では凄い子なんだけど、女の戦いとかにはならない類の子よ。

皆の旦那もそんなつもり微塵も無い事はミリアちゃんさえ見れば明白だし。


特にサウロ君の彼女のクロエちゃんはその場で崩れ落ちてたから。

ミリアちゃんが、はて?って顔をしてたけどそこは言わないでおいてあげるわ・・・彼女達のプライド的にもその方が平和だからね・・・。



皆との顔合わせさえ終われば安心と罪悪感に塗れたおばさま&お姉様達に可愛がられタイム突入よ!

ミリアちゃん、甘えるの大好物だから存分に甘えると良いわよ!


因みにクロエちゃんはダッシュでサウロ君に走り寄って蹴り上げてたわ・・・サウロ君も大分雑な言い方とかしてたんでしょうねぇ・・・。


その後は何の事かは分かってないミリアちゃんに謝って、今は妹分として可愛がっているって聞いたわ。ふふふ、2人共可愛らしいわよね。



そうそう、皆の奥さん達&クロエちゃんを誘っての女子会はもう、本当に凄いの!


女子会概念はミリアちゃんから入手して楽しそう〜〜ってなって即開催したんだけど、皆どハマりして定期的に行うように。


・・・毎日したい位だけど、女子会って文字通り女子しか参加権無いじゃない?

男性陣が拗ねちゃってねぇ・・・くすくす。


だから開催は男性陣が会議とかで集まる時にやってるわ。

皆で色々なものを持ち寄るんだけど、ミリアちゃんがバッグから出す物が一番ワクワクするのよね!


因みに、男子会なるものをミリアちゃんから仕入れた男性陣がちょっとやってみたらしいんだけど全然盛り上がらなかったってしょんぼりしていたわね。ふふふ。


だってそこにはミリアちゃん参加出来ないしね。




〜ラカンサイド〜


ホセがミリアの事を陰で女神様って偶に呼んでいる事は知っていたが・・・ミリアには即却下されていた。


で、何故それを自分の奥さんに言ったのか・・・。


泣き腫らした目でメーラが家を訪ねて来た時は本当に焦ったぞ。


アデルがすぐ様隣の家からミリアを連れて来て誤解を解いていたけれど、メーラが言う事には誤解してる人は多いとの事でアデルが私に任せて、と言うから任せたが・・・皆家でどんな説明してるんだかと呆れたのは言うまでも無かった。


・・・誤解は程なくして解けたらしいが。


その後は“女子会“と言うのをして打ち解けたと聞いたから安心した。

さすがうちの奥さん、アデルに任せて良かったって言ったら凄い可愛い笑顔で「ふふっ」て笑うんだぞ?

家の奥さんが優秀且つ、可愛過ぎる件。


その女子会が行われてる間の時間で、ミリアに頼まれていた祠の事も頼んでおいたら皆快く受けてくれて実践してくれている様だと後日ミリアからありがとうのお礼と共に報告を受けた。うん、良い子だよな。

しかも本人自覚まるっきり薄いけど、国の大恩人でもある・・・早々に誤解が解けて良かったとホッとした。


ミリアがいなかったら今頃こんなに穏やかに日々を過ごしていなかったからな。


“エンちゃんシリーズ”って言ってこちらに寄越してくれた物の凄さに皆何かしらむくいたい、と思っていたのだ。

毎日の祈り位1日1回どころじゃ無いくらいやってる奴は多いだろうな。


それだけじゃ無い。


アデルとの散歩で怪我で一線を退いた者達に会った時にも彼女は奇跡を起こしているのだ。


勇者の国の“ポーション”はこちらのポーションとは別格の効果であったらしい。

それを彼女は自作していたと言うのだから驚きである。

異世界勇者様マジ凄い。


我が国の民は個人個人が強いとは自負しているが、スタンピード・・・何が原因か未だ良く解明されていないが、大型の魔物達が興奮や恐怖に支配され突然同じ方向へ暴走する現象の事であるのだが、大型の魔物が暴走すれば当然周りにいる中型や小型もそれに付随する訳で・・・大所帯の魔物を相手取るとなるとやはり普段の魔物狩りとは状況が異なる。

俺たちが個人でいくら強かろうとも、必ず負傷者は出てきてしまうのだ。


だからこそ各国が協力して事に当たっていたし前線に立つ我々のリスクはかなり高かった。


足や腕を失くす者が出るのは最早必然だった。

相手は混乱し暴走した魔物だ。

幸い人死にだけは他の国と比べれば遥かに少なかったが、それでも年に何人かは亡くなる・・・生きているだけでも、と思うかもしれないが本人達にとってはそれは生き地獄であった様だった・・・。


家から出てくる事が極端に減る。

なるべく皆にこれ以上の迷惑をかけたく無いと言うのも勿論あるのだろうがやはり自分が“情けない“と思ってしまうのだそう。


いや、自分達が五体満足の時は怪我人を見ても決してそんな事を思っていた訳では無かった筈だった。

もしかしたらいづれ自分もああなるかも知れないとか引き篭もってた人達に積極的に話しかけに行く人だって居る。


でも実際自分がその立場になってみるとやはり卑屈になってしまうらしい。


現に俺の大先輩や稽古を付けてくれた師匠に当たる人達も一様にふさぎ込んでしまっていた。


戦場では死なないまでも怪我をして引き篭もり、援助を断って衰弱死に至る者が多いのは・・・本当にやるせ無かった事であったのだが。

そのポーションのお陰で復帰して、また生きる気力を取り戻した人達に涙したのは何もしてやれずに手をこまねくだけだった俺達だ。


皆が家族ではあるけれど、それ故に自分が足枷になる事が許せなかった者たちの心も、それをどうしようもなく見ているだけだった俺たち全員の心を救った肝心の勇者様は・・・

感謝の嵐に「ほああぁ〜?」と何とも気の抜ける声で答えていただけだったからなぁ・・・。


全然動かして無かった身体だ。

怪我が治っても戦えるまでにはリハビリは必要だったが、また狩れる様になるならそんなもの些細な事だ。


そんな彼らにいつの間にかホセが女神教を布教してたなんて知らなかった・・・狂信者がまた増えて嬉しいやら頭痛いやらだが、まあミリアに迷惑をかけないならと許容・・・また、怪我を負っていた者の家族だったり親友だったり恋人だった者もいつの間にか女神教が・・・うち、一応太陽神を崇拝する一族なのだが。

まあ一神教という訳でも無いし各自好きにしたら良いが。




そんなこんなで以前思っていたよりも鎖国後は平和に楽しく過ごしていた私達は・・・外の国では何が起きていて、勇者召喚の後の情勢などは全く知る由もなかったのだ・・・。

いやまあ、知ったところで現在鎖国中だから気にする必要もないのだが。






「ねえ、ラカン」


「うん?」


「私、赤ちゃん欲しいわ」


「っ!!」


膝抱っこ中の妻からこんなおねだりされて我慢できる男が居るか?


いや、いない!





我が国にベビーラッシュが到来した。








——————・・・因みに膝抱っこからの首傾げながらのあざといオネダリ技は、女子会の中でミリアがお披露目?した技である・・・。蛇足。


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