第3話
〜Sideラカン〜
「はぁ・・・困った」
以前からちょくちょく嫌がらせやら陰口やらは当然良い気はしないまでも。
まだ見てみぬふりが出来る範囲だったけれど今回のようにあからさまな契約違反は国として許せる範囲を超えた。
周りを砂漠に囲まれ資源に乏しい我が国は己の身体能力を頼りに文字通り命がけで各国に貢献してきた筈だったのだが何が気に入らないのかやたら敵視され報酬がみるみる減り、最期は仇する形で裏切られる事になるとはな・・・まあ、その都度報奨の確認を行なわなかった私側にも責任が無い訳では無いのだが。
資源は他国で稼いでくるのが基本なので人口にも制限をかけている。
子供は経済的に余裕があれば1家に1子まで許されるが子無し夫婦が大半を占めるのは子供が欲しく無いからじゃ無い・・・余裕が無いからだ。
一夫一妻で助け合って生きていく。
貧乏故に国民全員が家族みたいなもので結束力は強い。
今回の勇者召喚は流石に予測していなかったし正直うちの国には必要の無いもので巻き込まれたと言うミリアという子供の存在は我々にとっては渡りに船であった・・・報奨を貰わないのも国同士のやり取りに置いては悪手であるからだ。
それに我々への当てつけ且つ嫌がらせのために行なわれたであろう今回の召喚で巻き込まれてこちらへ来てしまった彼女が気の毒過ぎた。
呼んだ側の国も扱いに困り最初は放置していたというのだから余計に。
―――子は宝である。
本当は自分の子が欲しいと思っている家庭は沢山あるのだ。
報奨の急な変更に憤っていた我が民達も巻き込まれて蔑ろにされている子供の話に引き取りの話は直ぐに了承されたしなんなら今は一緒に来ていた妻のアデルが嬉々として世話を焼いている。
「さて、では出るか」
協定から抜ける手続きを終わらせたのでもうこの国には用はない。
何か各国が色々言ってきていたがうちにも流石に国としてのメンツがあるので此処まで舐められて仲良しこよしはありえないだろうと一蹴してきた。
あっちも我らの代わりに勇者召喚を行って戦力増加したのだから渋々ながらも了承された・・・何故渋ったのか理解に苦しむのだが。
ぐうぅぅぅぅぅ・・・・・・
流石に手続きの間は我慢していたが
「はぁ・・・腹減った・・・」
「ちょっと勇者様歓迎パーティーに顔を出して料理を貪り食いますかい?」
一緒に来ていた側近の言葉に正直惹かれる思いはあれど
「いや、出よう」
嫌味とかは気にしないがまた難癖つけられるのは面倒臭いのだ。
後、決別手続きした後にそれでは格好が付かないので我慢だ我慢。
皆には迷惑をかけるが、バディで駈けて魔物狩りまで食事は我慢して貰おう・・・と思っていた私は、部屋に帰って良い意味で驚くことになることを今はまだ知らないでいた。
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