第37話 辺境の村ダンジョン バージョン2 地下四階 解放!
「最終点検は済んだよ。地下四階のボスは、もうちょっと長く戦闘できるように『タコスケ』に言ってくれる?」
「承知しました」
サウスさんが返事をした。
『タコスケ』というのは、僕が名前をつけたクラーケンのタコのことだ。
「あとは、……大ナメクジの数を減らしたい」
ちょっと……。たくさんいるのは、な……。
「わかりました。魔界害虫駆除業者に依頼します」
サウスさんは僕に頷いて、胸元から何かを取り出した。見てると、それの画面らしいところを指で押していた。
それって携帯電話か、タブレット端末みたいなものじゃないかな……? もしかしてこの世界は、僕の知らないだけで発展してるみたいだ。
「マオ様。すぐに駆除業者が参りますのでご安心を」
「う、うん」
すごいな。
「時間までに間に合いそうかな?」
僕がサウスさんに確認すると、大丈夫ですと言った。
「マオ様。焼きおにぎりとから揚げとお漬物とお味噌汁、とてもおいしゅうございました! またお願いしたいですわ……!」
ミレーヌが全部、完食しましたわ! と言ってきれいに洗った入れ物を見せた。
「気に入ってくれて良かった。意識して【回復食】を作っているわけじゃないけど、食べると減ったHPやMPが回復するんだね」
減ってから食べてその効力を知った。これは医療品じゃなくて、健康食品だと思うけど。
「あ。マオ様、業者からの連絡で、駆除終了したそうです」
早っ! 魔界害虫駆除業者、優秀!
「害虫だけを駆除し、環境に優しいやり方でしてますから安心ですわ」
ミレーヌはにっこりと微笑んだ。
「じ、じゃあ! 【辺境の村ダンジョン バージョン2 地下四階 解放!】します!」
森に入る前の、ダンジョン入場待機所で順番待ちしていた冒険者たちが、時間になったのでゲートが開けられてやってきた。
「楽しみだな! 今日はパーティでやってきたんだ」
「そうなの? 私は一人で挑戦してみるの」
顔見知りか、そうでないのかわからないけど、冒険者たちは楽しそうに会話していた。
「いらっしゃいませ! 入場券&時間予約券の売り場は、こちらです!」
バージョンアップしたということで、パーティを組んで挑戦する冒険者が多くなった。そのほうが安心して、ダンジョン内を進められるだろう。
「じゃ、ここはお願いするね」
僕はいつも売り場の仕事がひと段落すると、お昼のお惣菜を作りに家の帰る。
「お任せくださいませ」
ただ今日はその前に、幼馴染のルルンがまた王都に行く日。今回はジーンも一緒について行き、あこがれの騎士団に入団試験を受けへ行くのだ。
「ルルン! ジーン!」
王都の騎士の人達がたくさんいる。その中で女性騎士に囲まれて、ルルンの赤毛はひときわ目立っていた。
「マオ!」
ルルンは僕に気が付いて、こちらを見た。ジーンはガチガチに緊張していた。
「はい! これ、お土産のプルプルゼリーとおやつのから揚げ! 村の名物だよ」
僕はルルンとジーンに渡した。二人は「ありがとう!」と言って受け取った。
「これが王都まで噂になっているリール村のお土産品の、プルプルゼリーとから揚げね!」
ルルンは下から覗いたりお土産を物珍しく見ていた。
「二人とも、頑張ってね」
三人でギュッと肩を抱き合った。
「ルルン! ジーン!」
そこへ、ベルも遅れてやってきた。
「王都でも話題になっている、エディブルフラワーの砂糖漬けを持ってきたわ。たくさんお土産用に袋へ入れたから、お世話になっている方に渡してね!」
王都の人へも、お土産を用意するとは気が利く。
「わあ! リール村へ行かないと、なかなか手に入らないって聞いたわ! ありがとう!」
ルルンは皆、喜ぶ! と言って喜んでいた。
四人でまた抱き合って、お互いを励ましあった。
「頑張って! ルルン! ジーン!」
村のみんなも見送りに来て、二人を見送った。皆、見えなくなるまで手を振り続けた。僕はベルと肩を組んで、見送った村の入り口から戻ろうとした。
「マオ君。少しいいですか?」
村の神父さんから、久しぶりに声をかけられた。なんとなく少し身構えた。ベルは気を利かせて「じゃあね!」と言って、お店へ戻ってしまった。できれば一緒にいて欲しかった。
「何でしょうか? 神父さん」
僕が振り返ると神父さんは、イラついた様子で詰め寄ってきた。
「ダンジョンでケガをするものが続出して、忙しくなったんだよ!」
「えっ!?」
今日からバージョン2になったばかりで……。朝、最終点検をしたけど……?
「軽いケガばっかだけど、続けてきてる。前はそんなことなかったけど、どういうことだ?」
ああ? と睨まれた。普段の様子と全然違う。なぜ僕だけに……!?
「朝に最終点検をしたはずですが、おかしいですね。ちょっと様子を見て来ます!」
これ以上、裏の顔の神父さんに絡まれたくないので急いでダンジョンへ戻った。
入場券売り場へ戻ると人だかりができていた。
「あ! マオ様! 今、呼びに行こうと思ってました」
珍しい。ミレーヌが焦っているようだった。冒険者たちもガヤガヤと何か話し合っていた。こんなのは初めてだった。
「村の入り口で神父さんに会って、ダンジョンからけが人がたくさん魔法陣で教会へ転移されてるって、
「戻っていただいて良かったです。どうやらダンジョンで、トラブルがあったみたいですわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます