06 幸せな箱
その箱は 幸せ
とっても 幸せ
まわりに箱がなくて独りぼっちの箱だけど
すごく 幸せ
だって 独りでいる事が
その箱にとっての幸せだから
箱は昔
たくさんの箱に囲まれていた
箱はかつて
たくさんの箱から嫌がらせを受けていた
ここで 他の箱なんてみないけれど
ここでは 挨拶の一言すら聞こえないけど
だから 今はとても幸せ
誰の気配もしないし
誰から嫌がらせをされないから
箱はそれでも良い
かつて薄かった箱の壁を
分厚くしなくてもいい
かつて開いていた箱のふたを
もう力を込めて強く閉じなくてもいい
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