第14話 七歳の分かれ道

話合わせていくと本当に月島くんは私で、でも、別の世界なんだって感じた。


「明日見に行こうか。こっちの世界の日高さんの家。」


月島くんはそう言って、ノートに私が話したことをまとめ始めている。


「こっちの世界のお父さんを探すってこと?」


私がそう尋ねると、月島くんは首を横に振った。


「父さんはこの街にはいないんだ。」


月島くんの表情は複雑だった。


話を聞くと、月島くんが七歳の時、お母さんについていったのはお父さんの浮気が原因だったからだそうだ。


裁判をして、お母さんが親権を勝ち取った。


そして、お父さんは浮気相手にも見捨てられて、実家のある別の県に引っ越したのだとか。


私はその話を聞いて、おぼろげだった記憶を思い出した。


私が七歳の時、浮気を疑われていたのは母の方だった。


裁判をして、お父さんが勝ったから私は父に引き取られた。


でも、本当に浮気をしていたのは父なんじゃないだろうか。


なんとなく思い出した裁判の光景は、泣き崩れるお母さんの姿だった。


実際に父は離婚した一年後には再婚して、裁判までして勝ち取った私を空気のように扱っている。


その理由も慰謝料から逃れるためだと考えれば、合点がいく。


そこまで頭の中で推理を広げた私は、考えることを止めた。


もしそうだったとしても、どうすることもできないからだ。


深夜妄想症候群がパラレルワールドに来て、重症化してしまったのだと思い込むことにした。



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私の好きな僕の話 山田 ぴの @momo4588

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