第29話 えぴかん
サブタイトルは『エピソード
何のことだ? と首をかしげておられることと思いますので、その説明を。
『えぴかん』とは。
エピソードとエピソードの
……ええ、まあ、そのまんまです。何のひねりもありません。
ふざけんな! と石を投げないでいただけると助かります。
ちなみに、ここで話題にするのは場面転換などで使われる『
エピソードとエピソードをつなぐ、その間の話を指します。
物語を書いていると、ほぼ必ずと言っていいほど「このシーンを書きたい!」というエピソードが出てきます。
そんなものないよ、という書き手さんはいません。
……いませんよね? 書きたいシーンもなく物語を綴るなんて考えられませんし。
物語を書く人は書きたいシーンがあるから書くのであって、それがないならハナから物語なんて書かないのです。誰にも読ませる気がない文章でも、アウトプットする以上は何らかの表現をしたいと思っているはずなんです。それが意識的にしろ、無意識的にしろ。
で、その『書きたいシーン』……例えばクライマックスのバトルであったり、探偵が犯人のトリックを見破る場面であったり、気になるあの人に告白して返事をもらうところだったり……とジャンルによっていろいろありますが、当然ながらそのシーンに行きつくまでの過程を書かなければいけないわけです。
その過程には、物語の中でさほど重要な意味を持たない、しかしなくてはならないつなぎの場面が含まれていて、それの内容によって物語の流れの良し悪しが決まってしまう。
特に、書きたいエピソードが複数あると、整合性はもちろん、それらのつなぎかたで不自然にならないように気遣う必要があります。なおかつ、あくまでも『つなぎ』である以上は簡潔で無駄がなく、物語の進行を無意味に妨げないものにしなくてはいけない。
この『
こいつがなかなかに厄介な存在である、と私は思っています。
書きたいシーンは大変な熱意をもって挑めますが、それ以外は言ってしまえば『やっつけしごと』になりがち。なのに書きたいシーンに匹敵する文章を構築しなければいけないのですよ。
そんなものをサクサク書けるはずもなく、『えぴかん』にゴリゴリと時間と気力を削られる――これが厄介でなくてなんなのかと問いたい。
……まあ、それを何とかするのが書き手だろう、と言われちゃ何も言い返せないのですけれども。いやはや。
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