第14話 プロット
プロット。それは物語の設計図。
プロット。それは一貫した物語を書くために必要なもの。
プロット。それは私にとって、あってもなくても大して変わらないもの。
……だってプロット通りに最後まで書けたためしがないんですもの。
書いているうちに思いついたネタを盛り込んだり、キャラが勝手に演技を始めてプロットの通りに進まなくなったりしますから。
むしろ私に必要なのは、プロットから外れた物語に筋道をつけてエンディングまで導くアドリブ力だと思います。
なので私は「このネタを途中に挟んで、こういうエンディングに持って行こう」とだけ決めて、あとはなるようになれという感じで書いています。
拙作『翻訳さん。』がまさにこのパターンでした。
一応、『翻訳さん。』のプロットがテキストファイルとして残っているのですが、その内容は、
・律子が昼休みに澄香を中庭で見かける
・澄香は迷い込んだ猫に「にゃー」と話しかけている
・その日の放課後、仏文を訳している澄香に
律子「それってフランス語?」
澄香「そうですよ」
律子「へえ、すごいね。これで話せる言葉が四つになったね」
澄香「? 日本語と英語、それとフランス語の三つですよ?」
律子「え? 昼休みに猫と話してたじゃん。猫語、わかるんでしょ?」
澄香、赤面して蒸気爆発。
・律子が告白して付き合うことになる
・律子が英語の勉強を始める
・英作文が合っているかどうかを確かめてほしいと澄香に言う。その内容は「今からキスするよ」。澄香うなずく。
以上です。
文化祭の朗読会のくだりや親友二人、第二図書室、互いの呼び名を決めるシーンのことなんて微塵も書かれていません。付き合うタイミングも本編では猫語のくだりの前になっています。
本当にもう、その辺りは完全アドリブでした。
律子や澄香のキャラ設定も、
・浅茅律子(あそう りつこ) 猪突猛進 チャラそうだけど根は真面目 性格イケメン
・上有住澄香(かみありす すみか) 翻訳さんと呼ばれている いつも外国語文の和訳をしている 前髪長め 猫背 人見知り 実家は裕福
というだけ。はっきりした外見的特徴を全然固めていませんでした。
よくこんな「猫語のくだりを書きたい」「エンディングは英作文でキス」しか決まっていない作品を最後までそれなりに書けたものだと自分でも思います。
しかもそれが私の作品群の中でエースになろうとは、この奇跡には本当に驚きでいっぱいです。
ともかく。
プロットなんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ。
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