第14話 再会
「ショコラとクレイにリズよ。この洞窟はダンジョンになっておる。このダンジョンの地下で四百年程眠って居ったが、その場所に我は忘れ物をしておる。一緒に取りに行ってくれんか。我では持てん量なのだ、良いか。」
「そのつもりで連れて来たのじゃろうが。良いも悪いもありゃせん。では潜るとしょう。二人共良いか。」
「「大丈夫。行こう。」」
「プリンよ。あの洞窟に何時戻ったのじゃ。」
「百年位前かのう。」
「ならば五百年前我と戦った後から此処で眠って居ったのか。」
「あの時お主と戦った傷が癒えるまで、此の地下ボスを倒しながら眠って居った。」
「ボスを倒しながら良く眠れたのう。」
「ああ、奴は一度倒すと十年は復活せん。眠った時間を数えるのに便利じゃった。」
「お主はこの五百年の間どうして居たのじゃ。」
「儂か、儂も洞窟の奥で眠って居った。百年に一度腹が減り、目覚めるとその洞窟に住み着いた魔物の群れを倒し、また眠り、ようやくあの戦いの傷が癒え目覚めた。その後魔物を倒し洞窟から抜け出し、暫く来た所で死にかけのクレイがくたばるのを待っていた所をリズに、クレイ共々助けられた。」
「そうか、所で儂はまだ魔力が回復出来て居らん、お主はどうじゃ。」
「それなら、リズのテントで寝れば回復出来るぞ。試してみると良い。」
「そうか、ならば後で試させて貰おう。」
ショコラはこうしてプリンと話ながら、クレイとサクサク魔物を倒しダンジョンの最下層目指して進んで行く。このダンジョンの魔物はかなりの数と強さのはずなのに、何故こんなに簡単に倒して進めるの?おかしい。
ショコラの尻尾がいつもより激しく嬉しそうに揺れている。
ドロップするアイテムは魔石と宝石。しかも魔石も宝石も透明度が高く、かなり純度が高い。私が見ても解る位だ。それを拾うのに魔物を倒し終えた、クレイにも手伝って貰わなければ間に合わない。
六階層が最終、ボス部屋もショコラとクレイの息の合ったコンビがサクッと終わらせてしまった。
クレイはダンジョンボスからドロップした剣を見て、
「此れ、魔法の剣だ。この剣は魔物と戦い消費した体力や魔力を回復してくれる最強の剣じゃないか。」
と少し興奮気味に説明していた。それを聞いたプリンが、
「その剣ならその奥に四十本位あるはずじゃ。」と奥を指したので進んで行くと、
「儂が四百年眠っていた間、向かってきた奴らとボスを倒し、奪った宝じゃ儂は要らんからお主達に遣る。持って行くがいい。」
「プリンにこれからお主達の美味い飯を準備して貰う分じゃ。遠慮せんで、全て貰うが良い。」
とショコラが言ってくれたので有難く全て頂きました。
◇ ~ ◇ ~ ◇
その後この場所で一泊し、翌日はまたプリンの背中に乗りアルフェノン山脈のあの滝が見える場所に降り立ち此処で一泊し山を降る事にした。
「今からクレイと魔物の解体をするから夕方までご飯は出来ないけど良い。」
「「我らは大丈夫だ。」」
「ショコラよ、あのテントはどうした物じゃ。一晩眠っただけで怪我と力それに魔力が回復してしまった。そしてあの空間は何じゃ、見た目は小さいのに中で我は本来の姿で眠って居られた。入る前はちと窮屈と思っていたが最高の空間じゃ。」
「そうだろう儂も初めて入った時は、驚いてしまった。リズはわれの本当の姿はまだ知らん。ただクレイは気付いているようだ。あ奴は探知スキルを持っておるからな。」
「そうなのか、あの二人はお主が従魔契約した位だから只物では無いと思って居ったが。」と話ていた所、魔物の解体が終わった二人が食事の準備に取り掛かっていた。
食事が終わった後、リズがみんなにお願いがあると言って来た。
「私はこの五年間、両親と私がどんな立場に居るのか知らずに生きて来ました。けど今は少しだけ理解しています。それに王都で父親が病気で臥せっていると聞いたけど、あの時はどうする事も出来ず逃げるように王都を後にしました。でも、今ならお父様を治してあげられるかもしれない。それに皆さんが居てくれる。お父さまの病を早急に治したいと思うのですが、みんな手伝って貰えないでしょうか。」
とリズは告げた。
一方プリンは事情が呑み込めていないため、もう一度リズの過去を説明した。
みんなの様子を見ていたクレイが、
「みんな反対する理由はないが、王都に潜り込むのにどうする?そもそも王様の部屋が何処か分らない。」
「クレイなら探知スキルがあるから分かるだろう。心配ない。」
とショコラに言われた。
「ならば我が皆を背中に乗せ、ショコラが隠密で姿を隠し、王宮の上で、クレイが探知すれば大丈夫だ。まさか空から来るとは思うまい。」
皆それでは行くか。プリンが昨日同様、皆を背中に乗せ、サルマトリア王国目指して飛び立った。
王都が遠くに小さく見えて来たショコラは、アルフェノン山脈を越えた所から隠密スキルを使っていた。
その後王宮の上に着くとクレイの探知スキルでお父さまの部屋を捜し出してくれた。
「あのバルコニーのある部屋がそうだよ。」
「ありがとう。」
「では次はリズ、クレイわしの背中に乗れ、プリンは小さくなってとんで来るのじゃ。分かったな。」
「アイ分った。」
「では行くぞ。準備は良いな。」
ショコラは王宮のバルコニー目指して飛び降りた。その後小さくなったプリンが私の肩に飛び乗って来た。
バルコニーから中を覗くと天蓋のあるベッドに弱々しく横たわった、お父様とそのお父様を見守るお母様の姿があった。
暫く見つめていると、お母様が顔を上げた瞬間に目が合った。
お母様は騒ぐでも、人を呼ぶでもなく、ただじっと信じられない物でも見るように此方を見ていたが、やがて椅子から立ち上がり此方に近付き扉を開け、思いっきり強く抱きしめてくれた。
その時私とそのお母様の目から大粒の涙がこぼれていた。この時私はお母様を癒した。
「リズ、リズ、大きくなって。よく顔を見せて頂戴。」
お母様は両手で私の頬を包むようにし、額に口づけをしてくれた。
その後ベッドのお父様が目を開け此方を見たが、目は大きく見開かれ涙を流し、うでを此方に向けて弱々しいがしっかり伸ばした。
私とお母様が落ち着くと部屋の中にみんなで入り、私はベッドに弱々しく横たわったお父様が伸ばした手を両手で包み込むと、お父様も癒した。するとお父様の身体が光に包まれ、今までベッドに横たわっていたお父様が、ベッドから起き上がり立ち上がれるようになっていた。
その後、この部屋の奥でテント広げみんなに入ってもらい、しっかり入口を締め隠密スキルの発動を確認した後まずみんなの自己紹介から始めた。
まず国王である父と王妃である母の紹介をし、次にクレイとショコラにプリンの紹介をした。
せっかく元気になった父と母は気絶するのではないかと思う程驚いていた。
その後二人が落ち着いた所で、この五年間私が「死の森」でどう生きて来たか。
その「死の森」でリュウガと言う冒険者と出会い、彼等に王都まで連れて来て貰った事、彼等に王都で聞いた話や、その後彼等と別れ王都を離れた事、そして今紹介した彼等とどうやって出会いみんなにどれだけ助けられて来たかなどを話した。
でも両親には申し訳ないが楽しいことがあった事も話した。両親はとてもよろこんでくれた。
その後両親の苦悩や辛さ、毒の件の苦しみ、また王都の件など案件が山積している事等も話してくれた。
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