第13話 新な仲間


 翌朝早く出発しお昼過ぎた頃に休憩した場所がサルマトリア王国とリゼブラ王国の

国境で此の上に登り頂上を越えたらファインド王国になる、とショコラが教えてくれた。


「もう少しこのまま進むか、この辺で国境を越えておくか、どうする。」

「クレイどうした方がいいと思う?」

「そうだね、国境は早めに越えといた方がいいかも。」

「ショコラ。ファインド王国に国境越えお願いします。」

「分った。我とクレイはそうないが、リズには登りがキツイと思うが大丈夫か?」

「多分大丈夫。」

「そうか、では行こうか。」

 ショコラの進むように崖を登ったから、少し大変だったけど万能グローブと靴で見た目よりはかなり楽に登れた。

「何だか登りが楽だった。」

 とクレイも言っていた。


          ◇ ~ ◇ ~ ◇ 


 無事国境を越え暫く進むと滝が有ったので、崖を下り滝つぼがある場所で一泊する事にした。テントを出していたら、ショコラが久々に魚を食べたいと言い出し、電撃魔法を川の中に放ち、見る間に魚が沢山浮いてきた。それを「死の森」で使っていた魚とり網ですくい取っていくと、食べきれない量の魚をゲットした。大量である。

 この山の水はサルマトリア王国とリゼブラ王国も潤してくれている。水も争いの原因になる。水不足が無ければお互い良好な関係で居られる。とクレイは教えてくれた。

 みんな魚をお腹一杯食べショコラは早々とテントの中に入って休んだ。

 私達も片付けを終えると早々に休んだ。

 翌朝起きると、クワッドネックサーペントの卵が動き中から卵が割れて来たみんなで卵が孵るのを見ていると、体長十㎝位の小さなクワッドネックサーペントの赤ちゃんが顔を出して来た。小さく切ったお肉を食べさせてお腹が一杯になったらまた眠った。

 その後、みんなで食事を終え出発した。

 滝に沿って魔物を倒しながら山を降りて行った所で、川は幾筋もの支流に別れ浅瀬になっていた。此処で川を渡っておこう。と、ショコラが私を背に乗せかわの反対側に渡り。また森の中に入り山を降りここで一泊する事にした。

「恐らく明日にはこの山を抜けられるだろう。」

「クレイ、ずいぶんな山脈だったと思うけど、こんな感じ。」

「イヤ、前にも言ったけど本来は命懸けなんだ、それにこんなに早くこの山脈は抜けられない。ショコラが居たからこんな風にサクッと越えられただけ。普通じゃあり得ないからね。そもそもショコラが規格外なんだ。」

「所で、お主達レベルが上がっておるぞ。」

「「え…⁉」」

 なんか嬉しい。


 山を降っていると、ショコラがちょっと寄り道すると言い水の音が聞こえる方に進んで行った。そして森を抜けたと思ったら、凄い光景が目に飛び込んで来た。

 前世の記憶、辛くて、悲しくてたまらない時テレビで見た風景。

 もし働く事が出来たら、お金を貯めて行く絶対本物を見てやると誓った。

 ブラジルのイグアスの滝。が何故此処に在ると思ってしまう程、幾筋もの支流がそのまま大きな流れを作り、その力強さで大きな滝となり今私の目の前に有った。何故か涙が止まらない。クレイが心配そうに見ている。でもどうしても涙が後から後から溢れて仕方なかった。

 落ち着いた時ショコラは私の足元に居てくれた。クレイは暖かな飲み物を渡してくれた。

「ありがとう。」

 もう一人じゃ無いんだと思った。

 みんな、気を遣ってくれて此処で一泊する事にした。

 翌日朝日が昇る素晴らしい景色を見ながら朝食を食べた。

「ありがとう。みんな出発しょう。」

「まだ此処に居てもいいぞ。」

「ショコラありがとう」

「満足するまで居てもいいんだよ。」

「クレイもありがとう。大丈夫。」


 滝に沿って少し下り森の中に入って行った。

 そのまま森を暫く進んだ所で冒険者グループが魔物の群れに襲われている所に遭遇した。

 冒険者は4人のチームで三人が倒れ魔法を使える人が応戦して居るが魔物の方が強い。その一人がこちらを見付け助けを求めてきた。

「ショコラ、クレイお願い出来る。」

「クレイ行くぞ」

 ショコラの尻尾は嬉しそうに揺れていた。

 ショコラ達が魔物の群れを倒した後、冒険者に近寄り癒しの力を掛けてみた。

 不思議な事に癒しを掛けた後の彼等は傷の治癒に体力、魔力と力が回復していた。

 驚きながら彼等はお礼を言い森の中に消えて行った。

 彼等の気配が消えた後ショコラのご飯になる魔物をテントの中に直し出発した。


           ◇ ~ ◇ ~ ◇ 


 その後ショコラが

「せっかく来た次いでに寄りたい所が在るんじゃ、構わんか?」

「「大丈夫構わないよ。」」

「肉はどれ位有る?」

「ちょっと待って確認してみる。」

お肉を確認したら意外と無くなっていた。

「みんなで食べて20日分位かな」

「ちと足らんかも知れん。」

「遠くに行くの?」

「イヤ我と同じ位食う奴の所に寄ろうと思っている。」

「じゃあクリス魔物を二十匹位解体しょうか?」

「そうだね。ショコラ近くに水場は有りそう?」

「分った。向かうぞ。」

 そのまま川に向かい魔物を二十匹以上解体し、二人共疲れたので、この近くで一泊する事にした。

 クレイと魔物を解体する間ショコラは魔物を倒し、解体した分の倍位の魔物の山を作っていたので、ありがたくテントの中に直した。


 翌朝ショコラは山を下らず登って行き、頂上付近の洞窟にショコラはずんずん入って行き、突然叫んだ。

「おるかー。儂じゃ。」

 目の前の岩山のような大きな岩が動き出した。それを見ていたクレイが突然悲鳴を上げ青ざめた。

「……ガ・ガフォスドラゴン……‼。」

「クレイ大丈夫?」

 暫くして落ち着いたクレイが


「リズは驚かないの?」

「ショコラと一緒だからね(苦笑)。」

「ところでクレイ聞いていい、今目の前に居るガフォスドラゴンって強いの?」

「ショコラとガフォスドラゴンはこの世界の最強二大魔獣って言われているんだ。」

「えー!!ショコラってそんなに強いの。」

「知らなかった!? 言わなかったっけ(苦笑)」

「う~ん。ごめんなさい。覚えてなかった。」

「我と対等に戦える奴は此奴だけだ。それより、リズすまんが此奴に肉を焼いて食わせてやってくれんか。一度此奴に食わせたくて連れて来たんじゃ。」

「大丈夫。今から焼くから待っていて。」

「リズ、手伝うよ。」

「クレイありがとう、助かる。」

 お肉が焼き上がる間ショコラとガフォスドラゴンはゆっくり話をしていた。

 魔物五匹分の肉が焼き上がり前に出すと瞬く間に消えて行き、足りなかったようでもう五匹分焼いて出した。流石に満足したようだ。


「初めて食ったが、美味かった。ありがとう。」

 と礼を言いながら、ガフォスドラゴンは何故かこちらを見ていたが、

「此奴達は神の祝福を受けたのか。寿命も伸びとるようだが。」

「「えー。」」

「やはりお主にも解ったか。神の実を食ったんじゃ。」

「そうか、ならば儂もお主達に付いて行こうかの。此処でこうしているのも飽きたし、それに楽しそうじゃ、美味い飯も食えそうじゃドラ良いか?」

「我は構わんが、その大きさではダメじゃリズのように小さくならねば。」

 と私を指したが、ガフォスドラゴンは簡単じゃと私の肩に乗る位小さくなり、私の肩に乗った。

 洞窟を出た所でガフォスドラゴンは元の大きさに戻り、


「連れて行きたいところがある。我の背中に乗れ。」

 と言い、私を犬の子を咥えるようにして彼の背中に乗せ、その後ショコラとクレイが乗ると、彼はゆっくりと空に飛び立ち、ファインド王国よりまだ北のセセル王国で最も高く、この世界の最北端にある山の頂上に降り立った。ガフォスドラゴンは私達が落ちないよう気遣いゆっくり飛んでくれ、初めての空の旅は快適だった。その後私達が背中から降りるとまた小さくなり私の肩に乗った。


「ドラよ。」

と言った時、ショコラが暫くして返事をすると、

「なんじゃ。何故返事が遅れた。」

「今の我の名はドラではない。」

「ならばわが友ドラよ、お主、名は何と呼ばれているのじゃ。」

「我か、我は此奴らと従魔契約を行いショコラと呼ばれておる。」

「ショコラか。ならば我も名が欲しい。我もお主達と従魔契約をする故、名を付けてくれ。」

「ショコラ、ガフォスドラゴンと従魔契約しても大丈夫なの。」

「構わん。我と此奴が本気で戦う事にならん限り大丈夫じゃ。最もそうなればこの大陸も無くなってしまうが。」


 ショコラがサラッと恐ろしい事を言ったような気がするが、ショコラが大丈夫と言うが、本当かなぁ。

「クレイどうする。」

「ショコラとガフォスドラゴンがいいって言うからいいんじゃない。」

 と言うことで、ガフォスドラゴンと従魔契約する事になった。

「私達で良ければお願いします。」

「ならば我の側に寄れ。」

 クレイと私がガフォスドラゴンの側に行くと、ショコラの時と同じようにガフォスドラゴンがおでこをクレイと私のおでこに付け契約印が現れ消えていた。

「ならば我に名前を付けてくれ。」

 そうだね、ドランドラがショコラだから、ガフォスドラゴンはプリンでいいかな?

とまた二人で話し合い、

「プリンでどう。」

「プリンか気に入った。」

 で、この世界の最強二大魔獣はショコラとプリン二大スイーツの名前になった。

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