第2話 ダンジョンへ



 この洞窟で暮らし始めて5回目の冬が過ぎた頃、狩りの途中ダンジョンの近くで魔物に襲われ動けなくなった冒険者と遭遇した。

 今まで魔物に襲われ死んだ冒険者を発見した事は度々あったが、生きた冒険者グループに会ったのは初めて。

 すぐにテントを出しテントに隠密と広さの自由自在拡張を付与してみた。

「隠密・自由自在拡張・隠密・自由自在拡張~~~~~~~!出来たー。」


 彼らは仲間4人のグループで内2人が魔物に襲われ動けない状態で他の2人もかなり傷を負っていた、全員テントを出し中で休息と、食事も魚や肉に、薬草を使った塩味で提供した。

 この五年、亡くなった冒険者を葬り、身に着けていた剣や装備を頂いた。その装備品や剣を身に着け、魔物も多少は狩り解体も出来るようになっていた。

 味も洞窟の奥に岩塩の層を見つけたので、塩も作れるようになっていた。


 彼等の話では「死の森」に新たにダンジョンが発生したため、王都の冒険者ギルドの依頼で調査に来たSランク4人の冒険者だった。

「我ら、リュウガ(竜牙)命を助けて頂いた事に感謝します」

 とメンバー4人が胸に手を当て頭を下げた。

「私はリズ、当たり前の事をしただけです頭を上げてください。」

 私は初めての事で少しビックリしていた。

 その後リーダーのクラット、足が速いイアンにシアル、回復役のルルドと自己紹介を受けた。


「何故あなたのような幼い子供がこのような危険な森に1人で生活を?」

 とクラットに尋ねられた。

「私は、2年前まで冒険者の両親とこの森で暮らしていました。が、魔物に襲われた私を助けたために今度は両親が襲われ亡くなりました。私一人ではこの森を抜ける事が出来ずにいたのです。」

「そうですか、お気の毒に。ではご存知ないかもしれませんね、此の森に隣接する三国、領土として支配を放棄した程の強い魔物が多く住み、この森に入って生きては帰れない、と言われている場所なのです。良く生きて来ましたね。」

「この場所はそんな大変な場所だったんですね知りませんでした。」

「そうですか、ご両親もさぞ貴方一人を残した事に心残りが有ったでしょうね。」

「ありがとうございます。」


そこに、イアンの興奮気味の事葉が飛び込んできた。

「それにしてもこんな凄いテントは初めて見た。一晩寝ただけで瀕死の傷の治癒と魔力と疲労の回復なんてとんでもない代物、どんな魔物を倒したらドロップしたんだ、これ超レア物ですよ。」

「ありがとう。でもあまり良くわからないんです。元々両親が持っていたものだから。」

「リズ、こんな凄いテントはどんな大金を出しても、リズを殺してでも手に入れたがる奴はいる。このテントは誰にも見せてはいけないよ。」

「ハイ、分かりました。」

「お前達も命の恩人の秘密だ、分かったな。誰にも口外するんじゃないぞ。」

「「「おう、俺たちは絶対喋らないよ。」」」

「でも、皆さんも良くこんな凄い森の、ダンジョン探索に来られましたね。」

「自分達はSランクの冒険者と言う自負と、報酬に惹かれてやって来たが、探索途中で無謀だったと後悔したよ。」


彼らは森に発生したダンジョンの調査に赴いたが、ポーションや魔力が不足したため、やむなく出直そうとダンジョンから出た所を、更に魔物に襲われ不味い状態に陥り彷徨って居たところで、私と出会っていた。

リュウガのルルドに後で聞いた話では、俺らのように準備をしっかりしてこの森に挑んでこの有様なのに、幼い少女が何故一人でこの森で生活しているのか?

もしかすると魔物が化けて居るのではないかと思ったらしい。謝られた。


「俺達はこれから1度王都に戻りランクを上げ、もう1度このダンジョンに挑戦するつもりだが、暫くは此処には戻って来ない。なので、俺達と一緒にこの森を出て王都に行かないか?」

 とクラットに誘って頂いた。この森を出られる良い機会なのでお願いする事にした。


「一緒に行きたいです。ですが今テントの中にこの森で二年間備蓄した食料がこれだけあります。 これでダンジョン探索は出来ないですか?」

「なに!これ全部使っていいのか。十分だと思う。むしろ王都に一度戻らずこのままダンジョンに潜れるのは助かる。だが俺たちの命を救って貰ったお礼とこの支払は、王都に帰ってからでないとできないがリズはそれでいいか?」

「大丈夫です。」

「ではリズも一緒にダンジョンに潜ってもらう事になるがいいのか?」

「逆に私はダンジョンが初めてだから足手まといになると思いますが、大丈夫ですか?」

「大丈夫だ、むしろ助かる位だ。但しわかっていると思うが命懸けだぞ。」

「はい、頑張ります。」


 初めてのダンジョンに、ワクワクしている。

 薄々気づいていたが、やはり冒険好きみたい。

 命が掛かってるのにー。


           ◇ ~ ◇ ~ ◇


 一日目、私がテントで魔物を探索し、彼等が魔物を攻撃していく。


 2日目も体力と魔力も十分回復して探索開始、魔物の強さは強くなって来ている が、昨日同様の探索で終了。


 3日目探索は終了。

 前回はこの場所で引き返したらしい。


 4日目、魔物が格段に強くなった。魔物の落とすドロップアイテムもレア物が多くなった。


 5日目この階は今まで剥き出しの岩ばかりだったのが一転して森の中に変わった。

探索中にナント温泉を発見。

 石鹸・シャンプー・タオルは全員渡しみなさんビックリしてたが身体を綺麗にしてゆっくり温泉を堪能した。

 魔物も兎位の小物から冒険者達の五~十倍位の魔物まで。

 小物の動きと強さは見た目よりはるかに速い上やたらと強い。 

 ドロップアイテムもレア物から何故か「生肉?」まで。

 タダ此処に来て食料も干し肉や干し魚になっていたので、とても美味しく頂きました。


 6日目この階は火山帯のよう。

 魔物はそう多くないがかなりの強い、それと凄い暑さだ。

 溶けない氷を纏った洋服型のアイスノンが出来ないかやってみよう。

「アイスノンの服型・アイスノンの服型~~~~~~~~~~!出来たー。」

「みんなこれ着てください。」

「なにこれはすげー初めて見た。生き返ったこれなら戦えるありがとう。」

 次の階に到達した所で本日終了。

                                 

 7日目氷の階。この階の寒さは半端ない。

 此処までくると魔物の強さはかなり強くなった。

 シェラフに手と足とフードが付いた人型みたいでそして温かさが失われないような物は作れないだろうか。やってみよう

「あったか人型フード付きシェラフ・シェラフ~~~~~~~!出来たー。」

「皆さんこれ着てください。」

「これはまた何、着る綿入れか助かった」。

「手足の感覚が戻る、戦える。感謝するよ。」

 ドロップアイテムもレアな武器・防具が多く何故か此処でも「生肉・生魚」がありとても美味しく頂きました。


 8日目此処が最終層見たいだ。今までのボスと違い強さのレベルが違うのが見ているだけで判る。この階のボスはキングミノタウロスだった。

 昨日の戦いでみんなレベルが上がったみたいだから大丈夫だよね。

「みんな大丈夫ですね。」

「テントのおかげで体調も万全で戦える。ありがとう行ってくる。」

 最終ボスを倒し勝利した。


「本来だともうすでにボロボロな状態でダンジョンボスに挑戦なのに、今回は魔力も力も余裕で挑めた最高だ・・・・。」

 皆さんは凄く喜んでくれた。

 それにダンジョンからドロップしたお肉とお魚は今まで食べたこと事が無いような高級品でとてもおいしく、また回復のポーションのような効果があった。

 ボス戦のドロップアイテムは最高ランクのレア剣と防具に生肉だった。

 ただダンジョンは成長するそうで、何年後かに挑んだら階層も増え魔物も更に強くなっているだろうと聞いた。

 これでリュウガの今回のダンジョン調査は終了。

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