ラケットとジュース

@pc03

ゴム 

尿道に違和感を感じている。ズキンズキンと針で刺されているような痛みが、血液の流れとともにやってくる。その度に体が微動する。


昨日、彼女とゴムを付けずにした。

二戦目を終え、寝ながら唇を舌で一緒にもてあそんでいた。彼女の手が鼠径部に伸び、もう一回と饒舌に急かす。もうゴムないよ。そう諭すように告げた。なしでもいいよ。こともなげにそう言われた。ほんとにいいの?と確認をしたが、彼女のまさぐる手がいいよと激しく動く。特に何も考えず、そのまま付けずにした。

特に普段と変わらなかった。

それよりもそんな提案をしてくる彼女に驚いていた。


次の朝から股間に違和感を感じた。

最初は昨日3回戦もしたから使いすぎたからその影響だと深く考えていなかった。しかし時間が経っても収まる気がしない。なんなら日を増すごとに痛みは強くなってくる。尿が尿道を通る時、軽く痺れるような違和感があるくらいだったものが、灼けるような刺す痛みに変わっていく。立ったまま小便器で用を足すことができず、個室に入りこぶしを握りしめ痛みで声が出ないようにしながら済ませていた。最もつらかったのが、風邪をひいた時だ。発熱があり倦怠感もある中で味わう痛みは、耐えがたく二十歳も過ぎて痛みで泣くことになるとは思わなかった。


近隣の泌尿器科を行くのは少し恥ずかしいので、二駅先の泌尿器科を受診した。診察は難なく終わり、抗生物質を処方された。毎日1錠を朝夕2回、2週間で菌はいなくなったのだろうとのことだ。診察の途中、医者に風俗に行ったか聞かれたが、言ってないと答えた。医者は前髪に薄い髪の毛が残る中肉中背の男で、私が嫌いなタイプの人間であったが白衣を着て身だしなみが清潔だったせいか、そこまで不快には感じなかった。


医者の処方してくれた薬を用法用量を守り摂取したら治った。まだ違和感は少し残るが、気にならないほどである。


たとえ心を寄せている相手が許可をくれたからといって、舞い上がってゴムを外すべきではない。相手が何を持っているかわからない。3000円強と灼けるような尿道の痛み。この痛い出費をもう二度と味合わないよう、今日もゴムを付ける。

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