記憶喪失
第2話
ちゅんちゅんと、さえずる鳥の鳴き声で目が覚めた。
窓から差し込む日の光が眩しい。
長い間、寝ていたような気がする。
ここはどこだろう…と、そんな疑問が浮かぶが、なんだかどうだっていいような事な気がして、ひたすら真っ白な天井を見つめていた。
――ガラガラ
「え…? さ、な…?」
扉が開いて、私を見た女性が目を見開いた。
みるみるうちに彼女の目に涙が溜まっていくのを見て、もやもやとした罪悪感が胸に広がった。
「佐奈! 良かった…本当に…」
彼女は涙混じりにそう言うと、ぴょっとどこかへ走っていってしまった。
「……」
「佐奈!!」
彼女が出ていって数分後、がっと扉が開いて、長身の男性が入ってくる。
彼はこちらに近づいてくると、私の頬に手を当てて、ほっとしたように微笑んだ。
「良かった…。本当に、良かった」
泣きそうな声を出して、こちらを見つめる彼に、なんと声をかければ良いのか迷う。
彼の後ろには、さっきの女性がハンカチを目にあてながら立っていた。
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