わたし、配信者デビューします! ②
"はっ?"
"はやっ!?"
"えっ?結構離れてなかった?"
"リアル縮地ってこんななんだ…"
"この回収屋何者だよ?"
「あぁっ?なんだてめぇ?」
わたしも女の子だけど、作業着姿だから気づいてないんだろう。
男性は威圧感たっぷりの目でわたしを見下ろし、ドスのきいた声で威嚇してきた。
"チャラじゃん!"
"こいつ最近調子こいてて嫌い"
"まーたダンジョンで出会いを求めてんのか"
"普通に間違いだろ"
"Bランカーが聞いて呆れるぜ"
「てめぇ回収屋か?もの拾いのモブがしゃしゃってくんじゃねぇ!!」
「ちょっと!そんな言い方ひどすぎます!!」
ピンク髪の女の子がすかさず反論する。
この人、すごくいい人だ。
探索者と揉め事は起こすな
社長から口酸っぱく言われてるけど、人助けのためだから今は許して欲しい。
「落ち着いて下さい」
「あっ?」
背伸びして両手を伸ばし、男性の肩を掴む。
「んだこれ?なんのつ…」
両手に力を込め、下に押し込むように圧力をかける。
「はっ?へっ?」
男性のひざはどんどん曲がり、ついには地面についてわたしと視線が合った。
「落ち着いて…」
「…ひゃいっ」
語気を低めて言うと、男性はこくこくと頷いた。
「嫌がる人を追い回してはいけません。いいですね…?」
「…っ!!」
わたしが手を離すと、男性は舌打ちしながら立ち上がる。
「ははっ!ちょっと油断しちゃったぁ。今日は朝から腹痛くてさ〜」
"チャラダセェwww"
"回収屋なんかに負けてやんのww"
"腐ってるけどBランだろ?こいつそんな弱かったか?"
"んなわきゃない。Bランクはめちゃくちゃ強い"
"腕力だけで膝つかせたこの回収屋なに?"
取ってつけたような言い訳を並べながら去っていく男性を見送っていると、後ろから声をかけられた。
「あのっ!」
振り返ると、ピンク髪の女の子が深々と頭を下げていた。
「助けていただきありがとうございます!…えっと、私はこういう者です!」
女の子はポケットから名刺入れを取り出して名刺を抜き、わたしに手渡してきた。
「有限会社リンクトーカー、
見た目はわたしとそう変わらなさそうな年なのに、働いてるなんてすごい。
"フラグキター!!"
"立った!フラグが立った!!"
"この子知ってる!かわいすぎる探索者って最近話題になってる子だ!"
"確かにめっかわ"
"向こうの配信もお祭り状態だったわ"
「よければ名前を聞かせてもらえませんか?」
「当然のことをしたまでです。まだ仕事があるので失礼します」
「ちょっ!?あのっ…早っ!?」
言葉もそこそこにその場を離脱する。
"フラグ殺し(フラグブレイカー)"
"恐ろしく速いフラグブレイク…。俺でなきゃ見逃しちゃうね"
"名前くらい言えばいいのに"
"俺回収屋バイトやってたことあるからわかる。探索者と仲良くすんなって言われるんだよ"
回収屋には探索者と密に関わってはいけないという決まりもある。
探索者と通じ、お金と引き換えに回収したアイテムを横流しするという事件が横行したからだ。
「よう華さん、か。また会えたらいいな…」
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