第3話 そろそろ領がヤバい事になってる

 あれから四年の月日が経ち、もう少しで洗礼を迎える年になったんですが、流石にちょっと拙い状態に私の領が成って来たのです。これまでは何とかエマ達が頑張って領民と何とかやっていたんですが、今年の麦の出来が最悪で、このままでは税を納めたら、村人の食べる分がなくなってしまうのです。


「お母さん、どうするの? 今年は本当に拙いわよ」


「そうね、このまま行くと税を納めたら村人の食料が無くなるわ。だからと言って税を納めない訳にも行かないからね。そんな事したら マリア様がこの領を継げなくなるからね」


「でもそうなったら、この領を引き継ぐ人が来るか、王領になるんじゃないの?」


「それがそうでも無いようなんだよ。この領って国の外れにあるだろう。だから場合によっては隣国に売りに出すなんて言う話もあるみたいなんだよ」


 あぁ成程、そういう事だったのね。私がまだ赤ちゃんの時に聞いた話で、親戚が引き継ぎを嫌がったのに私に継承権を残したのは、いよいよとなれば継承者が私なら、どうにでも出来るって思惑があったからなんだ。それに王都から誰かを送ろうにもそんな場所に来たがる人なんていないもんね。左遷されてくるような人でもいれば別だけど。


「それは本当に困ったわね。それだと税はどんな事をしても納めないとこの領が売りに出されるわね……」


 この後も色々二人は話していたけど、結論は出ずそのまま私の部屋を出て行きました。ところでこんな事を聞いている私はどうしてるのかと言うと、私は二人が話してる間ずっとお昼寝をしている振りをしていたのです。私ももう直ぐ五歳に成りますから、多少の会話は出来るので、私が起きてる所ではこういう話をしてくれないので、この様な事をして情報を集めているのです。ましてまだまだ私の本性は見せられませんからね……。


 とは言ってもこのままという訳にも行かない状況なので、そろそろ私が動くしかなさそうです。という訳で先ずは私の努力の結晶を見て貰いましょう。


 マリアのステータス

 名前 マリア・フォン・シュガー

 種族 人間

 年齢 4歳(7か月)

 状態 良好(舌ったらず)

 職業 領主(仮)

 レベル1

 HP 30/30  

 MP 2310/2310 

 スキルー      

 魔法 ー 

(固有スキル) 領地経営ステータス

 称号 ー 


 領地経営ステータス

 名前 シュガー村

 レベル1

 人口 228人

 商業 ★☆☆☆☆

 農業 ★★☆☆☆

 工業 ★☆☆☆☆

 漁業 ☆☆☆☆☆

 忠誠度★★★☆☆

 繁栄度★☆☆☆☆


 まぁこんな感じなんですが、領地の方は本当にやばい所まで来てますよね。私個人の方は魔力量が異常の他は固有スキルがあるだけで他の特典は一切ありません。普通転生物と言えば特典三種盛りが普通じゃないの? 言語理解、アイテムボックス、鑑定とかが定番だよね……。辛うじて言語理解だけはあるようですが、これスキルなのだろうか? ステータスにも出ていないから……?


 まぁそれにこの世界にアイテムボックスや鑑定というスキルがあるかどうかはまだ分かりませんけどね。だってこの年でそんな事をエマ達に聞いたらおかしいし、そういう事を調べる本もうちにはありませんから。


 しかし、こんな事言っていてもこの領の現状は変わりませんから、先程も言いましたが、私が動くことにします。で、具体的に幼児の私がどう動くのか? それは簡単な事で違う食料を提供するので~~す! だってもう見つけてあるんだもん。


 それはお米です! これを食べないでどうしますか! 元日本人なら見ただけでそれが食料になると分かる物ですからね。ですがなんとこの世界では沢山自然に繁殖してるのに、家畜の餌にしてるのです。まぁ異世界物では良くあることですが、実に勿体無い。それもこの世界の米は陸稲ではないのですよ。沼地に繁殖してる水稲……。これはかなり期待出来ると思うのですが、何故か食料に成っていないのです。


 これには何か理由がある筈なんだけど、これまでは聞けなかったんだよね。一度聞けば何でそんな事を聞くのかという事になるし、食べれるからとも言えないからね。現状家畜の餌に成ってる物だから流石にね……。


 勿論、それなりに私も理由を考えたんだよ。一つはこの世界が小麦や大麦、ライ麦が主食だという事。そしてうちのような貧乏な領地では製粉が殆ど出来ないので、俗に言う黒パンのような物しか作れない事。その上でもし米粉パンを作ろうと思っても玄米パンになるから、更に固いパンしか作れない。この時代この世界にはまだイースト菌はないからね。


 それでもね、麦系のパンは若干自然発酵で膨らむので黒パンでも食べやすくはなるのよ。それにそれなりに製粉が出来る所では黒パンじゃないし、それなりのパンが食べれるから米粉に手を出さない。あぁ別に米粉パンが自然発酵しない訳ではないんだよ。ただ物凄く時間が掛るし、米粉自体が纏まり難いから作るのが凄く面倒なの。水分減らせば行けるんだけど、麦系で日頃作ってるとその辺の調整がね……。その点麦にはグルテンがあるからそれだけで粉は纏まり易いからね。


 次にこれかなと思う理由はやはり異世界と言えば魔物、沼地と言えばそういうのがいてもおかしくないでしょ。でもこれは少し弱いかなとも思ってる。だってそんな所からわざわざ採って来てまで家畜の餌にするかな? とも思うからね……。


 と、この時は思ってたんだけど、後日聞いた話だと魔物は居るけど、対処出来るから無理してでも採って来てたんだって、何故なら他に餌にする物が無かったかららしい。まぁ言われてみればそれも理解出来た。土地はあっても人口がいないから、何でも作れないし、家畜の餌をわざわざ作る余裕がないのよ。当然、他の所は別の理由だと思うけどね。


 こんな感じで、何故米が食べられていないかを分析したんだけど、私の目的はパンではないので、ここからはどうやって米を食べさせるかを考えるのです。出来れば玄米ではない方が良いんだけど、白米に出来る技術がこの村にあるなら麦だってちゃんと製粉出来るんだよね。


 だから、今年は玄米のままで乗り切ろうと思う。今年は生きることが大事だからね。そして今年を乗り切れば来年こそ水車を作って製粉と精米が出来るようにして、美味しい物を食べよう。


 で、どうやって米を食べさせる? 私がそれなりの年齢なら領主として言えば何とかなるんだけど、今の私の年齢だと無理なんだよね。魔法も使えないから魔法でどうにかするというのも無理。そうなるとやっぱり人力しかないけど道具がね……。


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