第12話 地震
「救助しないと!!」
街で地震が発生し、古い建物の多くは崩壊してしまった。
それに道には亀裂が入り、段差が出来ている場所もある。
瓦礫の下敷きになっている人も複数いるので、急いで救助しないと!
「大丈夫ですか!?」
俺はすぐそばの瓦礫に足を挟まれている人を助け出す。
この人は軽いけがをしているけど、歩けない程じゃないので建物から離れた広場で休ませよう。
次は下半身に壁だった石が乗っている人を助けたいけど、流石に一人じゃ時間がかかり過ぎる。
なので他に動ける人を……なんた? なんでみんな呆然としてるんだ?
いや呆然としてるだけならいい、混乱して騒ぎ立てる人が複数いる。
「そっか、地震が少ない地域なのか」
前に聞いた事があるけど、日本人は地震に慣れ過ぎているらしい。
でも何とか助けないと。
「そこの人、ちょっと手を貸してくれませんか?」
「え? ああ俺か? わ、わかったぜ」
一人に声を掛けると、ハッとしたように他の人達も救助を始めた。
地震なんて経験したことが無いと、神の怒りだとか思う人がいるかもしれないな、特にこんな時代だと神様が本当にいると思ってる人も多いだろうし。
「おお! 神がお怒りになられたのだ! 人に天罰をお与えになったのだ!」
い、いた、まぁ今は放っておいて救助を進めよう。
あちこちで救助の輪が広がり、冒険者や衛兵、治療する神官も動いている。
だけど数時間が経過した頃になると、助けたはずの人の容態が悪くなり、そのまま息を引き取る人が増えてきた。
……あれ、なんだか聞いた事がある、確か長い間どこかの部位を圧迫されていて、一気に解放したら毒素が血管と一緒に全身に回る、だっけ?
毒素? なら解毒ポーションとかが効くのかな。
怪我人が集められている広場に行くと、体のどこかを圧迫されていたような症状の人が横になり、体調が悪そうにしている。
なんか意識が希薄だけど、間に合うのか?
「失礼、この解毒ポーションを飲んでください、楽になると思います」
上半身を起こしてポーションを口に当て、ゆっくりと飲ませる。
この人は両足の太ももを圧迫されていた様で、足が随分と膨らんで見える。
外見上の怪我は無いように見えるけど、多分神官が治療をしたはず、足の膨らみは一時的な物と判断されたのかな。
「あ、ああ、あり……がと……う」
そのまま意識を失ってしまうも、静かな寝息を立てているので判断が付かない。
他の人にも解毒ポーションを飲ませつつ、その人の様子を見ていたけど、ふと目を覚まして周囲を見回して絶望していた。
少なくとも体は問題なさそうだ。
神官や治療をしている人に症状を伝え、似た症状の人がいたら解毒処置をするようにお願いする。
気が付けば半日が過ぎ、街の何カ所かで炊き出しや救護所が出来ていた。
すっかり日は沈み、あちこちで
流石に疲れたので炊き出しで食事をもらい、木によしかかる様に座るとそのまま眠ってしまった。
アラーム音で目を覚まし、夢の中でのことを思い出して背筋が寒くなる。
「地震が起きるって事……? 揺れは大きくなかったけど、夢と現実の違いで大きくなったりしたら……」
俺は慌ててスマホを手に取り、
すると早めの時間だけどすぐに返事が来た。
『おはようございます先輩。地震の夢なんて不吉ですね。入院中に地震が起きたらどうしたらいいか、看護師さんに聞いてみます』
そんな返事が来て少し安心する。
確か病院は耐震構造になってるんだっけ? 倒れる事はないだろうし、お見舞いに行ったときに見た感じだと、器具はしっかりと固定されてた。
「後は会社か、あのビルって何年前のだろう、倒れなきゃいいけど」
とはいえまだ起きてもいない地震の為に休むわけにもいかず、勝手に休んでいた時期もあるため休み辛い。
あ、コンビニで必要になりそうな物を買って行こう。
会社に行く途中、リュックと手提げバッグを持ち、コンビニ二軒をハシゴした。
バランス栄養スティックと軍手、電池も買っておこうかな、マスク? まぁあって損はしないだろう、ウェットティッシュは便利そう。
モバイルバッテリーは家から三つ持ってきたし、懐中電灯? スマホがあるけど小さい奴ならあってもいいかも。
救急セット⁉ そんなモノ売ってたのか! 買っておこう。流石にヘルメットは無いか。
おっと水、水っと。
後は……てかバッグもリュックも一杯だ、これ以上は無理か。
会社に到着し、今まで見た事なかったけど、壁や天井などをまじまじと見ている。
あ、結構前に小さな揺れがあった時、誰かが言ってた様な気がするな、このビルは新しい耐震構造だから、結構な揺れでも大丈夫だって、そか、それなら安心かな。
とはいえ、少し心配だから会社に入り、挨拶がてら地震の夢を見たことを話題に出した。
数名は机の引き出しやバッグに簡単な防災グッズを持ってたけど、それ以外は何も持っていなかった。
確かオフィス向けの救急セットがあったはずだから、場所を確認しておこう。
あ、窓際に沢山の折り畳み式のヘルメットがぞんざいに置いてある。
午前が過ぎ、午後にないっても地震は起きない。
もちろん起きない方がいいんだけど、今までの事があるから夢の内容を夢だからと無視する事は出来ない。
そしてそろそろ日が沈みかけてきたころ、誰かのスマホからけたたましい警報が鳴り響き、警報は連鎖するようにあちこちから聞こえ出すと、ゆっくりとオフィスが揺れ始めた。
「おおっ!?
と課長がわめいているが、他の社員は机の上を抑えたり何かに捕まって様子を見ている。
だがそれもつかの間、地響きと共にビルは大きく揺れて机の上のモノがあちこちに飛び散り、机、イスが激しく動き始めた。
悲鳴があがり、固定されていない小型の棚が倒れると、更に悲鳴は大きくなり混乱が広がると、建物がきしみ、あちこちからモノが落ちてきて怪我人も出て来る。
そして随分と長く感じたけど、揺れていたのは十秒ほどだったようで、警報が鳴った時から大して時間が経っていない。
「皆さん大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」
俺は二回目なので多少は落ち着いているけど、やっぱり夢とは違い心臓がバクバクしているし、少し手が震えている。
あちこちから「ああ」「大丈夫」と声がするが、何人かは床にうずくまっているので急いで駆け寄る。
どうやら頭に物が落ちたようで、血は出ていないが脳震盪を起こしているのか、頭を押さえてぼんやりしている。
周囲の物をどかし、床に寝かせてる、枕か何かないかな? イスに置いてあるクッションがあったのでこれを枕にしよう。
他にも怪我人が居たので、救急セットを持ってきて簡単な治療をする。
といっても絆創膏を張ったり打撲で腫れている所を冷やした程度だけど。
と、館内放送が流れ、このビルは耐震構造なので崩れる心配はないけど、不安な人は階段で一階に避難するようにとアナウンスがきた。
ガラスも割れてないし、ビルだから大きく揺れたけど、意外と震度は高くないのかな?
と、俺のスマホにもメールが来てる、
どうやら向こうもかなり揺れたらしいけど、看護師さんに聞いていたお陰で、それほど焦らずに対処できたみたい、よかった。
こっちも無事だと返信をして、改めて周囲を見る。
見慣れたオフィスがぐちゃぐちゃだ、夢で見て警戒はしてたけど、現代でもこんなにひどい事になるんだ、夢の世界なら悲惨な結果になるのも当たり前だ。
「俺買い物に行ってきます。あ、これは自由に使ってください」
リュックとバッグの中身を机の上に並べると、俺は階段を駆け下りて近くのコンビニに入り、散乱している商品を手に取り、水と食べ物などを沢山購入する。
コンビニに入るまでの道で、何カ所かの道路が地割れを起こしていた、やっぱりかなり大きな地震だったみたいだ。
会社に戻るとみんなが部屋の片づけをしていた。
買ってきたものを配り、俺も片づけを始める。
今気が付いたけど電気が切れてる、停電してるみたいだ。
それに電車も運転見合わせとか言ってたな、歩いて帰れる人以外は会社にお泊りか。
バランス栄養スティックで空腹を満たし、緊張と疲れからか俺は壁に寄りかかって座ったまま眠ってしまった。
そして目が覚めた場所は。
「あ、会社にいる時に夢の中に来ちゃった」
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