領地の生活

第2話 領地での生活

「わあ、空気がおいしい!」

家を出て最初に向かったのは、お父様にもらった領地だ。マロン領は、とても自然豊かな土地だった。

森の木には果物が実っているし、畑は金色の小麦でいっぱいで、自然に恵まれた土地だなあと思う。

「マロンさまだ!」

「いらっしゃーい!」

じわっと涙が出そうになった。

だって、ここの人たちはとても優しい。

こんな…こんな私を、歓迎してくれるのだから。

「歓迎してくれてありがとう。とっても嬉しいよ。」

「あれ、まろんさまなきそうになってる!だいじょーぶ?」

と、小さな女の子が言う。

「泣きそうに、なんて、なってないから大丈夫、だよ。」

完全に強がりだけど、仕方ない。だって、伯爵家にいたころは、泣いたらうるさい、黙れと平手打ちされるから。ここの人は、みんな優しいからそんなことしないと思うけど、どうしても怖くなってしまう。

「マロン様には、この屋敷をどうぞ!」

そう言われて見えたのは、白を基調としたきれいな屋敷だ。

三階建てで、ゲストルームがまるでホテルのスイートルームみたいだなあ。

そして、寝室は、これは五人用ですか?というくらい大きく、淡い水色のキングサイズベッドがある。とってもありがたい。

「マロン様~!私のベッドもあります!一緒に寝れますね!」

そして、ミイリナや、アンジュのベッドまである。

ここの人たちは本当に優しくて、とても親しみやすくて、安心できるなあ。

この町では、湯あみをするらしい。お風呂と言っているらしいけど、すっごく大きくて立派!ありがたいなあ。(以下略)

外に出ると、パーティーが始まっていた。なんでだろう?と思っていたら、アーチにそのわけが書いてあった。

『マロン様歓迎会』

そういうことかぁ。みんなここまでしてくれるなんて、本当に優しい人たちだなあ。

「マロン様最高!」

「マロン様完璧!」

すると、この町の町長らしき優しそうなおじいさんが。

「マロン様、この町の町民はみんなやさしいからの。のんびりしていってください。」

「ありがとうございます。町長さん。」

「ふぉっふぉっふぉ。これくらいどうってことないわい。だってこの町は―」


「―マロン様のおかげで栄えたのです」

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