楽羅神社

未來

序章

プロローグ

「あなたは、神に選ばれた人間です。」

 そう幻聴が小さい頃聴こえた。


 私の名前は未來みらい。両親はどこに居るのか、どこに行ったのかは知らない。そもそも、顔すらも憶えてないので会えることはないだろう。物心付いた頃から側にいたのは祖父母だ。そして、わたしたちは学校へ行ったことがない。‘行きたい!’と言うと、無言の圧で睨まれる為数年で言わなくなった。


 祖父母に勉強は教えてもらってるが、多分やってることは古いんだろうと歴史の勉強をしてて思った。もともと教師をしていたのだよと豪語しているがあまり教え方が上手くはないが、教えてもらってるだけありがたいと思ってる。違和感なのは、ここ20年くらい教えてもらえないことだ。教科書の出版年を見て確信したんだけどね…


 少し気になることもある。それはどうやってお金を稼いでいるか。うちは神社だがそのまで儲かるわけではないだろう。のくせに、十分くらいの食事が3食出てくる。しかもここは、山奥にポツンとあるせいで来る人もいない。


 あとは、祖父母は神社へ顔を出さないのもあってより何かをしているのではないかと弟?の刹凪せつなとよく話してる。いつも私たち2人で対応をしてるので、外部の情報を唯一知れる時間になっているのだ。外部とされる人と話すことが一番楽しかった。


 学校に通っている人には、勉強を教えてもらっていた。祖父には教えてもらえないことも何教科かあったため、勉強を1から教えてもらった参拝客にはとても感謝をしている。

 会社に行っている人には、マナーやルールなど一般的なものに加え、今の社会について教えてもらっていた。


 2196年、私は産まれた。だけど、小さい頃の記憶は一切ない。その数年後下に刹凪せつなが誕生した。彼も記憶にないらしい。

 そんなこんなあって私は、17歳を迎えた。

「お誕生日おめでとう!」

 刹凪せつなからいつも祝ってもらってる。


 でも、祖父から祝われたことはない。祖母は数年前に亡くなった。亡くなってから祝われなくなったわけでもない。刹凪せつなも同様に祝われてない。


 1つ実は不思議な点がある。それは性別が分からないこと。男女は成長していくにつれ変化していくものだ。だが、私達にはそれがなかったのだ。歳は分かるし、誕生日も分かる。

 だけど、性別だけは分からなかった。これがいわゆる中性なのだろうか。聞こうにも聞ける内容ではないと思ってる。


 何があったのか。隠されている情報が多すぎる。いつ祖父に2人で話していることがバレてしまうのかヒヤヒヤしながらもう過ごしたくないと思ったときにあることに巻き込まれた。


 それは夏のある時である。

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