箱の中の男
ある男はサイボーグ人間になりたかった。
その男には金もなく、人情もなく
恋人も栄誉も何もかもなく、何をしてもダメな人間だった。
バカにされ続け、見下されてきた人生。
だが、昨今の世の中は違う。人間はサイボーグになることができるのだ。
完璧ではない人間が、中途半端な人間が
死ぬ勇気もない人間が、コンピュータと同化しサイボーグ化するのだ。
そのサイボーグ化の流行は都合が良いものだった。我々としての性格はそのままに、知識や力だけがアップデートされるのだから。
俺がサイボーグ化になることによって
完璧な人間へと生まれ変わることができる。
そうすれば俺の人生は何か変化を起こすかもしれない。
そしてはこのために俺は働いてきた。そしてその働いてきたお金をそのサイボーグ化に費やすことにするのだ。
俺は完璧な人間になって、全ての人を見返してやりたい。努力もしない俺にとっては良い機会だ。
数日後、俺はある博士の元にやってきた。数十億とを投資した博士にサイボーグ化の治療を進めてもらう。
本来の意思を維持したままサイボーグ化するこの博士の技術に俺は気に入った。
出来上がったあと、確かに頭が賢くなったかのようにスッキリとした感覚があった。
だが、サイボーグ化してもしっかりと自分の意思はある、完璧な頭脳を備えたまま自由に動くことができるのだ
だが、なんだがずっしりと重く
周りの見え方が良くない。
鏡で俺の姿を見ると
要望通り、強い腕力や足腰はあるものの、俺は箱の中に閉じ込められている状態のままで、ガラス面から目だけが見えているだけだった。
口元などは見えておらず、まるでダンボール箱に入った人間のようで、手足だけが箱から出ている状態だった。
そう、俺の博士はサイボーグの条件への技術力は高いものの、デザインセンスとやらも
0に近しい人間だったようだ……
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