第4話:カマラ
「みえるか?あそこが西の大森林だ。」
トンカはライロックとファピという丘に立っていた。目の前には大森林が見え、その手前には西の大森林を囲っている軍施設がある。それを囲むように周りは3mはあると思われる柵が立っていた。
「ここから抜け道を探すなんてムリじゃない?」
「まあここから見ただけじゃわからないな。コンパスも連れてくればよかったな。」
知識が豊富なコンパスなら僕達とは違う視点で物事を見れると思うんだけどな。コンパスを今すぐ呼びたいけどコンパスも学校や研究があってすぐにはこれないよね。
「コンパス近くにある友達の家にいるらしくすぐに来れるらしい。」
流石コンパス、僕の予想を簡単に超えてくれる。
「友達っていうのは存在しない石波を受信した人かな?」
「おそらくな。そいつも来てくれればこころ強いんだがな。」
その後ライロックと抜け道を探してみるがまったく見つからず若干イライラしてきた頃にコンパスがやってきた。
「ごめんね、少し遅くなっちゃった。紹介するね、私の友達のカマラ。あの石波を発見した人よ。」
コンパスがカラマと紹介した小柄の女性は僕らの前に出てきて会釈をした。カマラは黒い服に白いズボンを身に着けており髪は腰まで下りている。
「カマラさん、よろしくね。」
握手を求めた手を握られるとあまりの冷たさに少し体が震えてしまった。手を離し顔をみてみるも目は僕を向いていない。奥の西の大森林を見つめていた。
「私達の計画はもうカマラに話したよ。どう、カラマ。抜けれるところはありそう?」
「どこからでも行けそうね。完全にカメラだけで監視をしているわ。」
改めて見てみると確かに軍事施設はたくさんあるものの人の姿は全く見えない。
「カメラは何を使ってるのかな。」
「そうね。おそらく最新のメギを使ったものね。」
「メギ?」
「メギっていうのは特定の種類の木から取れる液体だよ。これも電波のようなものを出すんだ。最近見つかったものだからまだ研究はあまり進んでいないけど石波よりも安定しているってことで話題になったりもしてたよ。」
「感知した存在しない石波ってそれのことじゃないのか?」
「まったく違うよ!石波は周波数が限られた範囲内の数値しか出さないし、波形が特徴的だから石波はすぐに特定できるよ。」
コンパスは少し興奮したのか早口に解説をした。こんなコンパスはあまり見ないから少し笑ってしまった。そんな僕をみてきょとんとしてるコンパスが面白くてさらに笑ってしまった。
「メギだったら妨害は簡単にできそうね。それでカメラは電波を受信できずに監視モニターには映らなくなるはずだわ。」
「流石に長時間映らなかったら怪しまれちゃうからできるだけ短時間ですませないとね。」
「その時間でこの柵を乗り越えるってことか。」
「そうだね。この柵は触っても大丈夫そうだしね。なんなら私が触ってあげようか?死なない自信はあるよ。」
コンパスの自信に満ちたその発言がなぜかみんなの笑いを誘発した。
僕はもちろん声を出して笑ったしライロックも口を手で隠している。カマラも声は出してないけど口元が笑っている。
少しの幸せな時間。しかし僕は僕にとって致命的な問題に気づいた。
「え、この柵乗り越えるの?」
「「あ。」」
この柵はライロックの身長とくらべると大体3mで、金網状になっているから足場や掴む場所は確保しやすい。全部の地区の平均身長は175cm。ライロックは少し身長が高いから大体180cmはあると思う。カラマは大体165cm、コンパスもそれぐらいはある。そして期待の僕は150cm、さらにあちこちを回っているとはいってもちゃんとした運動もしていないから体力もそこまでついていない。
「トンカは私が肩車すればフェンスは乗り越えられると思うよ。」
「今回は速さ重視だ。そんなことをしていたら警備に見つかってしまう。」
「てことは僕は留守番?」
「いやちゃんと来てもらう。今回の提案主でもあるからな。」
「それじゃ、どうすれば…。」
「特訓だね。出発の予定は来月だから今からなら身長は厳しいけど体力はつけられるよ。今後のためにもなるし。」
「えー!僕運動苦手…。」
「誰がコーチになる?私は研究とかがあるから無理かな。」
あれ、僕の意見は!?勝手に話が進もうとしていない!?
「テストが近いから俺は無理だな。」
「カマラはどう?」
「私は大丈夫よ。最近ひましてたことだし。」
「決まったね。それじゃあ、来月までにトンカをこの柵が越えられる程に頼むね。」
「任せて。よろしくねトンカ。」
「あ、よろしくお願いします。」
勝手に始まって終わってるし。
カマラさんまだどんな人か分からないからちょっときまづいな。この後コンパスにでも聞いてみようかな。
「今回は解散でいいか?」
「いいよ。それじゃ、またね!」
そう言い勝手に解散をし走って丘を降りていったコンパス。傾斜はなかなか急だが体幹が強いのためかよろつきもせずにきれいに降りていった。
あ、カマラのこと聞けないじゃん!
「それじゃあトンカ明日からやるわよ。場所は私の家の近くで大丈夫?ここにあるから。」
そう言いポケットからメモ帳を出しカラマの住所が書いてある紙を渡してくれた。
「うん、大丈夫。お手柔らかにね。」
「もちろんだわ。」
そう言いカマラはゆっくり歩きながら丘を下っていった。
「ライロックは帰らないの?」
「いや、帰る。」
「それじゃ、一緒に帰ろ。」
「ああ。」
そう言い僕は早足で降りるライロックの背中を追いながら丘を下った。
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