分かる人には分かる。そんな感覚ではないでしょうか。ふとした記憶に、ざらっと混じるものがある。もっと手を浸すか、手を引くかは、その人次第。だって今日は、「さむいよる」だから。この、誰かに、あるいは誰かと話したくなる感覚がくせになります。気づけば「よる」のとばりが降りてきて、二人は遠くにいくでしょう、的な。読んでいて、そんな不穏さがあります。ほんのりホラー。されど、しっかりホラー。ちょっと朗読向きではないかと思います。