惑星アイオリスについての報告
惑星アイオリスについての報告
惑星アイオリスは二千年ほど前に全面核戦争があった。
人口の九割五分が死亡、残った知性体は何とか文明を再興させていた。
アイオリス人?は哺乳類肉食型高等知性体、つまりは人類に似ているがどうやらホモ・フローレシエンシスの進化した種のようである。
そのうえ、核戦争の影響でY染色体が極めて弱い……つまり男は生まれにくい……
性差が女が七割……ギリギリ種族存続できているようである……
身長は140センチほど、小学4年生レベル……これで成人である。
全面核戦争後の二千年で社会も変化、一夫多妻で売買婚で娘の意思は関係ない。
男は労働などしないようで、女性が働いている。
ネットワーク世界においても女性化が進みつつあるが、その一歩先の世界ともいえるわけで、種族絶滅はそれゆえに回避している。
科学技術については全面核戦争前、惑星アイオリスの星系へ探査機を打ち上げたようであるが、当時の探査機が衛星や他の惑星などに残っている。
当時の科学技術は失われているが、現在、テラでいうところの1940年代後半の科学技術は保っている。
この状態が五百年ほど続いており、今後も科学技術の発展は期待できない。
しかしランクは一級にカテゴリされるべきである。
惑星世界は統一された政教一体政体で統治されており、惑星人口は概算で9,800万人。
惑星アイオリス世界はもともと放牧世界のようで、主食は肉、家畜はほとんどウサギとニワトリに似ている小型のもの。
この世界の宗教が科学技術の進化を阻止している。
旧世界が滅んだのは科学技術のためで、ロケット開発は教義が禁止しており、住民もそれを守っている。
二千年ほど前の全面核戦争の恐怖が、人種の遺伝子レベルの記憶として刻まれている。
現在、惑星世界の崩壊などという、切羽詰まった状態にはない。
ティアマト軽便鉄道線保安司令部
一週間後、この報告書がガブリエルさんの手元に届きました。
「簡単な報告書ね……まあ、資料がつけてあるのは褒めてあげられるわ」
資料にはアイオリス人の人種的な特徴と一般的な現地人の写真、そして特産品などが写真付きで記載されてありました。
「アマテラス様とイシス様に回しておきますか」
ガブリエルさん、『要回覧』なんて判子をドンと押しています。
三軍統合幕僚部に影山物資補給部長と山下惑星世界管理局長が呼ばれて、
「ティアマト軽便鉄道線保安司令部からの報告よ、路線の中でただ一つの一級地域、惑星アイオリスについてよ」
イシスさんのお言葉ですね。
「私が見るところでは大した交易品はないように思えるけど」
影山物資補給部長が、
「瓶詰のウサギ肉のテリーヌなんか、良いかと思います♪ウサギのマスタードソース煮の缶詰もありますね♪値段も格安ですから♪それにシードルも良さそうです♪」
「毛皮も有望ですね♪」
「毛皮業者からウサギ肉を格安に買えるのではないかしら♪」
「ウサギを食べるのですか?」
山下惑星世界管理局長が嫌そうに聞きますと、
「おいしいのよ♪」
との返事でした。
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