第2話

 表彰台の上に立ち、銀メダルを首に掛けられた時から遙の運命が変わった。

 眩しいぐらいのカメラのフラッシュの前で1位のロシアの選手、3位のカナダの選手と共に笑顔を見せる。

 それが終わったらインタビューが待っていた。


「おめでとう。遙ちゃん」

 何より嬉しかったのは、同じクラブの先輩の早川奏(かなで)がそう言った事である。

 奏は遙より2歳年上の17歳である。

 遙の憧れの先輩だった。

 今回、同じスケートアメリカに出ており、優勝を果たしていた。


『遙、おめでとう!』

 親友の若林優希から電話があった。

 日本での放送は今日の夜である。

 速報のニュースを見て、直ぐに電話をくれたのである。

「自分でもびっくり!運が良かったのかな」

『遙、もっと自信持って。それが、遙の実力だよ』

「優希ー。早く日本に帰りたい」

『帰ったら何したい?』

「お寿司食べたい!」

 優希との電話が終わると、遙は漸くベッドの上に寝転がった。

 2位か……

 まだ実感湧かないな。

 もし次が同じ2位以上ならグランプリファイナルも見えるかもしれない……

 そう、インタビューの人が言ってたっけ。

「まさか!」

 遙は起き上がると、思い切り首を振った。

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