第14話 衛星通信設備を求めて
エリックの小屋を後にしたハルカは、彼の提供してくれた地図を頼りに進んでいた。行き先は、かつて軍が使用していた廃棄された通信基地。ニュードーンがその設備を完全に管理しているわけではないため、潜入の可能性があるという。
「ここが最後の賭けだ…」
エリックの言葉が耳に残る。衛星通信設備を使えば、ニュードーンの監視をすり抜け、計画の真実を世界に伝えられる。それを成し遂げるためには、基地への侵入、設備の稼働、そして短時間でのデータ送信が必要だった。
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廃棄された通信基地は山岳地帯の中腹に位置していた。険しい道を進む中、ハルカは冷たい風と疲労に耐えながら前進を続けた。薄明かりの中に見えたのは、コンクリートの壁に覆われた大きな施設。荒廃した外観は年月を感じさせるが、近づくにつれて警備ドローンの影が見え始めた。
「やっぱり警戒してる…」
ハルカは身を低くし、草むらに身を隠した。エリックから渡されたハッキングツールを手に、ドローンの動きを分析する。
「これが成功すれば、次の巡回まで数分の隙間が生まれる。」
心臓の鼓動が早まる中、ハルカは機器を操作した。数秒後、ドローンの動きが停止し、やがて動作範囲が変化する。
「今がチャンス…!」
彼女は足音を立てないように施設へと駆け込んだ。
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基地内部は薄暗く、廊下の奥からは古い機械のうなり声が聞こえてくる。ハルカは慎重に進みながら、衛星通信設備があるというメインルームを目指した。
「ここが地図にあった場所…」
扉の前にたどり着いたが、簡単に開けられるものではなかった。セキュリティコードが必要だったのだ。ハルカは再びエリックのハッキングツールを使い、扉の制御パネルに接続した。
「頼む、動いて…!」
緊張の中、数分が過ぎた。ようやくパネルのランプが緑に変わり、扉がゆっくりと開いた。
「やった…!」
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部屋の中には巨大なサーバーラックとモニターが並んでいた。埃を被ってはいるが、衛星通信の操作端末はまだ動作可能のようだった。
「これで世界に真実を届けられる…!」
ハルカは端末に接続し、エリックから預かった指示通りに操作を始めた。ニュードーン計画のデータをアップロードし、衛星を通じて全世界に送信する準備が整いつつあった。
しかし、その時。
「侵入者発見。」
無機質な声が廊下から響き、足音が近づいてくる。ハルカは息を呑んだ。
「まだ終わってない…!」
彼女は操作を続けながら、ドアをロックするための指示を端末に入力した。外からのアクセスが遮断されるまで数十秒。ハルカの脳裏にレイの言葉が蘇る。
「絶対に諦めるな。」
ついにドアのロックが作動し、廊下の音が遮られた。しかし、それも長くは持たないだろう。
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通信が開始されるまでのカウントダウンが表示される。ハルカはその間に設備の状態を監視し、エラーが発生しないよう祈るばかりだった。
「残り30秒…20秒…」
扉の向こうでは金属を叩く音が響き渡っている。追手がドアをこじ開けようとしているのだ。
「10秒…5秒…」
そして、ついにモニターに「データ送信完了」の文字が表示された。
「やった…!」
ハルカは端末を抱え、素早く部屋を後にした。追手がドアを突破するのは時間の問題だ。
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廊下を駆け抜け、出口を目指すハルカ。しかし、施設の出口にたどり着いた瞬間、警備ドローンが彼女の行く手を阻んだ。
「これで終わり…?」
諦めかけたその時、背後から轟音が響いた。振り返ると、エリックが車に乗り込み、突入してきたのだ。
「早く乗れ!」
ハルカは迷わず車に飛び乗り、エリックと共にその場を脱出した。後方には施設の警報音が遠ざかっていく。
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車内でハルカは、エリックに感謝の言葉を述べた。
「間に合ってよかった。だが、まだ安心するのは早い。」
彼の言葉に、ハルカは頷いた。送信したデータがどれだけの影響を与えるかは、まだ分からない。
「でも、これで世界が変わる可能性が生まれた。」
エリックは静かに微笑み、前方の道路に目を向けた。車は荒野を突き進み、新たな目的地へと向かっていく。
ハルカの胸には、次の一歩を踏み出す覚悟がさらに強く根付いていた。
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