第2話

夕方、目が覚める

引きこもり社会不適合者のおれは、何も予定がない今日、たとえ普通の平日であったとしてもこの時間におきてもいいのである


いやぁ〜お腹が空きました

朝ごはんならぬ、夕方の軽食をそろそろ学園から帰ってくる妹の夜ゴハンと一緒に作りますか


っとその前に、お仕事のDM確認しないとな……


えーと……例のVTuber……いたいた……


えーと、どれどれ



実績のないやつからの依頼ってことと、自分がいちばんよくわかっていますが、ほんとにお願いします!

この業界でてっぺんになりたいんです!

そのために、あなたの力が必要です



てっぺんになりたい……かぁ……

どんな業界だとしても、てっぺんにたどり着くのは簡単ではない

でも……少し、てっぺんじゃなくてもいいから、少しでも成り上がることに、賭けてみようかな……


もしも、それできっかけとして、作曲者としてのおれが世間にバレちゃったら

それはそれは、とっても美味しい!ってことで


まぁ、だからといって値引きとかしないけどさ

ふぅ〜っ、なんか、昔のおれを見てるみたい

ちょっと、懐かしいな……



仕事のコトを考えながら、妹の夜ゴハンの準備をする

どんな曲がいいのか……

万人受けしそうな歌か、はたまた賭けに出て1部の層だけに受ける歌にするか……


こうして考えてみると、昔のおれたちはめっちゃヤバかったんだな、と再認識してしまう


まぁ過ぎたことはいいか……



「お兄ちゃ〜ん!」


っと、かわいいかわいい妹が帰ってきた

名前は白虎恵びゃっこめぐみ、13歳の中学2年生

よくちんちくりん、と言われる妹

ちなみに身長は148センチ

シルバーの髪と少し暗い紅の目は、実の血の繋がった兄妹であるおれと一緒

容姿に恵まれていて、告白されることはあるという


「お兄ちゃん!ゴハンまだ?先にお風呂入ってるね!あ、あと今日、サーシャちゃん、来てるからね!」


綾叉あやまたサーシャ、17歳の高校2年生

おれの幼馴染

引きこもりのおれとは違って、サーシャは学園に通っているので、会うことは少ない

かわいさでは、クラスの中で2〜3番目程度、だと恵が言っていた

昔、アニメ声でいじめられていたとき、おれが色々と教えてあげて、そこからなぜかネコみたいに懐いてしまっている


「あっ……紅灯、来ちゃった……一緒に、紅灯の料理食べたい、だめ?かな?」


上目遣いがきいてくるサーシャ

まぁ、別にいいんだけどさ

ここで断ったら、愛しの妹に何言われるのか、っていうかなんて叱られるのかわからない


「まぁ、どっちでもいいよ、好きにしたら」

「ありがと、じゃ、食べてくね、んしょっ……」


ソファーに堂々と座って来る

そして、おれのことは気にせずに堂々とまるで自分の家のようにくつろいでくる


まぁ、妹が連れて来るペット感覚であしらってるけど、妹が嬉しそうに連れて来るならいいや


食費も、タダ

おれが知らなかっただけだけど、サーシャ、色々おれのために頑張って昔から働きかけてるみたいだし

なんか、おれに懐いている可愛らしいやつだし


そんなこと思ってるうちに、夜ゴハンがてきた

恵はまだお風呂だし、サーシャと2人っきりでもいいから食べちゃうか

熱いほうが美味しいし


恵は恵用の特別の料理をいつも使ってあげてる

恵の大好物、白虎家特製のカレーをいつも作ってあげてる

シスコン、というわけではないと思うが

おれは、その味は口に合わないが、子供舌の恵にはとってもとっても合うのだ

ちなみに、焼肉のタレを入れただけのものである

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