「んん〜……」
私は重い身体をゆっくり動かした。
あれ……?私どうなったんだっけ…?
「…気付いたか?」
「へ?」
横を見ると蓮兄が困った笑顔で私を見ていた。
あたりを見るとここはベッドで部屋に運ばれていた。
服もちゃんと着てー……
私は状況を把握して勢いよく起き上がった。
「っておい、そんなすぐ動くな。のぼせて風呂場で倒れてたんだぞ。」
そう言って蓮兄はもう一度私をゆっくりとベッドへと寝かせた。
お、お風呂で倒れた……って事は…
「ほれ水。ここ置いとくからな。ちゃんと飲みなよ」
「蓮兄……」
「ん?」
私は水の入ったコップをテーブルに置く蓮兄に思い切って聞いてみる。
「私…お風呂の中で倒れちゃった…んだよね…?」
「そうだよ」
「えっと…ここに運んだのは…」
「ん?俺」
頭の上に?でも浮かべているように蓮兄は言う。
今は服も着てるし……ってことは………
「…み、……見た……?」
と言うと、少し気まずそうにする蓮兄。
「出来るだけ…見ないようにはした…」
うわああやっぱり……!
でも……
「ちょ、ちょっとはドキドキ…した…?」
「ばっか言ってないで早く寝ろ!また明日な!おやすみ!」
そう言って蓮兄はそそくさと部屋を出ていった。
裸見てドキドキされないのはさすがに…やばくないか…!?私…!
先はまだまだ長い頑張れ成川 郁…!泣
蓮 side
俺は居ても立っても居られなくなって足早に部屋を出て扉を閉めた。
そのまま扉に体を預け、自分の手を見た。
…………
「ーー…兄貴っ…!バカ郁がー…っ!」
俊の声が聞こえて、リビングにいた俺は慌てて俊のいる風呂場に向かった。
すると顔を真っ赤にして突っ伏してる郁がいた。
慌てて湯船から出して身体を拭くのに脱衣場に寝かせた。
……けど
本気で、…やばい、と思った。
郁の緊急事態だってのに…俺は何考えてたんだよ……。
俺は扉にもたれながら郁に触れた自分の手を見た。
「……そりゃ成長…するよなあ…。」
思ってたよりかなり大変だ。
ーー…自分の好きな人と一緒に住むのは。
そのままリビングに行き、ソファに座っている俊に声を掛けた。
「郁、大丈夫そうだった」
"郁"と聞くと俊は、ぼんっ!と音が出たみたいに顔を真っ赤にさせた。
……思い出したな。
「なっ…べっつに心配してねえし!?ばか郁の事だ変な事でも考えてのぼさたんだろ?!あーやだやだ俺はもう寝るおやすみ!!」
バタン!
そう早口言葉で言葉を吐き捨て、俊は顔を真っ赤にさせながら自室へと戻って行った。
…これが俺の弟じゃなかったらぶっ飛ばしてたなあ。
「……はあぁあ…」
このままやって行けるのか、俺は…
郁の事を好きだと気付いたのは中学2年生の時。
『蓮兄!聞いて…!今日クラスの男の子に告白されちゃった…!』
とある日言われて、今までにない気持ちがうまれたんだ。
それは嫉妬、独占欲。
これが好きなんだと気付かされる。
俺が1番近くで郁の事を見てたんだ、他の誰にもあげやしない。
その時は告白の断り方を相談されて、ほっとした。
だけど郁は誰から見ても可愛い。
高校生になってまた可愛くなったと思う。
俺は内心焦っていて、でも気持ちを伝えれば郁が困ってしまう。
郁は俺の事を"お兄ちゃん"として見ている。
『蓮兄っ!』
笑顔で俺を呼ぶ郁が頭に浮かぶ。
郁が俺の事を"蓮兄"と呼ぶ限り、俺はあいつの前では"かっこよくて優しいお兄ちゃん"でいると決めている。
でも…
いつまで優しい兄貴でいるつもりなんだ、俺は…
いつまで我慢すればいいんだ……?
「おっはよう〜!」
「郁ちゃん〜!おはよう!昨日お風呂場で倒れたんだって?ごめんねおばちゃん夜用事で出掛けてて…大丈夫だった?」
朝、リビングに入ると心配そうにおばさんが私の元にかけよる。
「大丈夫だよっ!ちょっと考え事しちゃってたのかなあ…」
なんて笑っていると、蓮兄が目を擦りながらリビングに入ってきた。
昨日の今日で…少し恥ずかしい…!
なんたって裸見られてるんだから…!
事故だけど!私記憶ないけど…!
「…はよ」
「おっおはよう蓮兄…!」
あれ…なんだか蓮兄…、ちょっと顔赤い…?
ついじっと見ているとふいっと顔を逸らしながら「あれ、俊は?」と言った。
確かに…まだ8時にもなってないのに俊の姿が見当たらない。
「俊ー?ああ、なんか、俺はひと皮向けてしまったんだ!止めないでくれ!とか訳わかんない事言いながら学校行ったわよー?」
ああ……何だかいてもたってもいられない…
昨日私の事最初に見つけたの俊だ、って蓮兄言ってたし…
「…あほだな」
「はは…だね…」
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