伝えられない想い

 もしも、出逢った順番が違っていたら、俺にもチャンスはあったのかなんて考えたりもしたけれど、それでも君はアイツを選んでいたのだろう。


 そもそもアイツと出逢ったおかげで君は綺麗になったのだから、俺は君の素晴らしさに気づくことなく見過ごしていたかもしれない。いや、実際に君から目を逸らしてきたのだから、君に恋する権利なんてなかったのだろう。


 幸せそうに綻んだ笑みを見せる君と、見守るように見つめるアイツ。

 悔しいけれど、やっぱりお似合いなんだよな。


「どうしたんですか? そんなに見つめちゃって」

「んー、別に? 幸せそうだなーって思ってね」


 うん、そう。やっぱりそう。幸せそうにしてくれているだけで俺は十分なんだ。

 それが俺のおかげじゃなくても、君が笑ってくれるだけでいい。


「あー、どこかエロいナイスバディな美女が落ちてねぇかなー?」

「あるわけないっスよ、そんな奇跡。諦めるッス!」


 他の女性にとっては運命の相手のように映る俺も、彼女から見れば所詮その他大勢モブ扱い

 宿命、それが俺の定め。逆らえない運命なのだ。


 だけど君はどこまでも綺麗な、幸福に包まれたお姫様。君に幸あれ、いつまでも素敵な笑みで微笑み続けてくれ。



【 片想い狂詩曲ラプソディー 】


「募れ、募れ、俺の片想い。それほど君は幸せでいられるのだから」

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