第37話 王都内

「あの薬ですが中に魔法を詰め込んでるので多分1ヶ月位で効果が少なくなると思いますが大丈夫ですか?」

「そうか。あまり薬に頼ると怪我しても良いと考える者も増えて来るから少しずつ古いのから使うように伝えておく」


 そんな話をしている時に急に騒がしくなった。

「緊急でお伝えします。王都内で魔獣を確認。現在第一騎士団が対応しております」

「王都内にか?どこから入った?」

「現在調査中です」

「緊急事態ですね。僕も現場へ行きたいのですが……」

「普通なら反対する所だが、必ず無事に帰って来いよ」

「行ってきます」


 馬に乗せてもらい現場へと向かった。

「現地には多分怪我人が居ると思われますが大丈夫でしょうか?」

「初めて見るから分からないが一人でも助けたい」

「正直王からの命令で連れて行きますが本当は子供に見せたくは……」

「ありがとう。一人でも多く助けるから、出来るだけ早くお願い。それとごめんね。まだ一人では馬に乗れなくて」

「いえ、街中では馬に乗るのは難しいのです。気になさらずに」


 現場に到着した。

幸い死者は居ないみたいだが……。怪我人が沢山……。

「何で子供を連れてきた?まだ1頭残っているのだぞ!」

「とりあえず、水の精霊さん、あの魔物の顔に水で閉じ込めて」

「え?なんだこの魔法。敵が動けなくなってる……あれ男だよな魔女じゃないのに魔法?」

「今の内に治療します。重症の方は居ますか?」

「君は医者の見習いか?とりあえずここの二人が腕を食われた。止血を手伝ってもらえるか」

「水の精霊さん傷口を綺麗にして。その後に回復魔法で……魔力凄く使って腕も戻って来い」

「そんな都合のいい魔法有ったらいいのになって本当に治ってる?」

「痛みが無くなった……俺もう死ぬのか?腕も……有るし。あれ?治ってる?夢だったのか?でも服は破れてる……どうなってるんだ」

 

 腕を失っていた兵士が自分の状態に混乱していた。

「あの……魔力使い過ぎて、もう魔法無理で、後はこの薬でお願いします。また城まで送ってもらえますか?」

「仲間を救ってくれて、ありがとう!少し待っていてくれ。俺達も城に戻る。一緒に行こう。今は休んで……ってもう寝てる」

「この子男装してるのかな?まあ理由が有るにしても俺達が助けられたことは間違いない」

「この子知ってる。前に怪我した時に薬をくれた子だ。第三王女様と一緒に居た……と言う事は貴族様ではないか?とりあえず馬車にでも乗ってもらおうどこかで借りてくる」


 後から聞いた話、近くに居た人が馬車を貸してくれたそうだ。

僕が来なかったら馬ごと食われてしまっていたかもしれないからと。


無事帰れたけど、兵士の言う勝利の女神って何?私男よ……違った僕男だぞ。

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