第2話 ハンターへの意志
―はじめまして、波多瀬守―
ん?なんだこれ?一瞬戸惑うが目の前にある宙に浮くウインドウをみて、すぐに理解する。もしかしてステータスとか表示できるやつか?
―はい、可能です―
おー!会話もできるのか。じゃあ早速俺のステータスを見せてくれないか?
―承認しました。あなたの能力値は以下の通りです。―
知力Eー
武力Eー
器用Dー
おい、これだけか?俊敏とかはないのかよ?
―俊敏などの身体能力は武力に含まれています。記憶力も同様に知力に含まれています。―
なるほど、質問があるんだが、黄金のリンゴの効果は具体的にどうなんだ?これは知力に関係があるのか?
―はい、黄金のリンゴを食べると知力に関係する効果が得られます。芸術に触れることや本を読むなど使い方は様々です。2個以上食べても効果は変わりません。―
畜生、さすがに楽にランクアップとはいかなそうだな。だけど、ひとまずやることは決まったな。スクールに通おう。どうせなら最強になりたいだろ!でも問題は俺が金持ちじゃないってことだ。
「どうしたんだ?そんなにかしこまって。」
守は父親のまえで正座していた。木の床の感触はとても痛く、足を組んで僕の言葉を待つ父の姿をみて、ものすごく緊張していた。母は小学生のころに夜逃げしていなくなってしまった。今の自分を支えてくれているのは父だけだ。その分、父にスクールに通うと伝えるのにはかなり厳かな気持ちがあった。
「父さん、実は俺、推理ハンターになりたいんだ。」
呆けたような顔を見せる父。そりゃそうだろう。いままでろくに勉強などしてこなかった子供が急にこんなことを言い出したら呆れもするだろう。当然だ。
「父さん、やっぱり俺」
そこまで言いかけたところで父が口を開く
「よし!わかった!!」
え?いったいどういうことだ?父さんが金銭面で余裕がないのは知っている、だから余計に納得ができなかった。
「守がやりたいというのなら父さんも全力で応援する。それにしても、いったいどうして急に言い出したんだ?前まではそんな素振りすらみせなかったのに。」
ああ、なんだこんなことだったんだな。毎日を何気なく過ごしていると気づかない思いやり、家族にこんなにも自分のことを信じ、愛してくれている人がいるというのがなんだか心地よい。とにかく今はこの場所が好きだ。
ふわぁ…眠い体を起こしてコーヒーを飲む。朝起きてやることはランニングだ。ランニングは脳に良いらしいので黄金のリンゴをたべて外に出かける。ランニングの後は筋トレだ。昨日の夜少しアプリのショップを確認してみたんだが、ポーションが10ポイントで売られていた。とりあえず試してみてみることにしたのだが……うん、はっきり言って味は苦い栄養ドリンクといった感じだ。でも効果はなかなかだった。疲労が取れていき、筋肉も少しだが回復しているのが分かった。午後になるとひたすら読書にいそしんだ。それからの一週間も同じことを繰り返した。
「守君、最近イキイキしているね。いったいどうしたの?」
学校での休み時間俺は速宮と話をしていた。
「大したことはないさ。ただ、やりたいことが見つかったんだ。」
俺はハンターになることを隠して、自分の気持ちを伝えた。
「そうなんだ。すごいな守君は、僕は相変わらずだよ。」
速宮からは前々から家系の頭首争いに巻き込まれているという話を聞かされていた。彼もそれなりに大変で、やりたいことをやる時間などないのかもしれない。お互い、この日はまだ本音で話すことはできなかった。
放課後、俺は帰宅した後、すぐに支度をして駅へ向かった。電車に乗ると席は埋まっていて、俺は立つことになった。横を見るとヘッドホンから音を垂れ流している少女がいた。ずいぶんとポップな音楽を聴くものだなと思う。俺はそのまま3分ほどして電車を降りた。
よし、到着だ。目の前に見えるのは2階建ての建物だ。名前は天の川推理ハンタースクールと書いてある。今日からスクールに通うことになったのだが、どうやらここで間違いないらしい。俺は玄関のドアを勢い良く開ける。中に入ると、勉強している人たちが目に入った。そして、私のことを見つけ、こちらに歩いてくる女性がいるが、いったいだれだろうか?
「どうも、守君だよね?私はこのスクールの講師の平山薫(ひらやまかおる)よ。これからよろしくね。」
この人が講師なのか?明らかに二十代だからハンターの素質が高いほうなのだろう。俺は適当に返事をして案内をしてもらう。そして、見た感じでは1階は勉強用で、2階はシュミレーション室だった。シュミレーション室とはゲートを研究して生まれた機械を使って仮想現実で推理することができる部屋のことだ。
「それじゃあ、そろそろ授業を始めるよ。」
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