第2話 定例会議
「ちょっと待ってください、河野さん。私の記憶違いでしたら申し訳ないが、そのような政策案は我々の中で共有された覚えはありません。定例会議の時間は限られているのです。適切な過程を経て、吟味された政策案以外を話している時間などありません。」
高橋は、会議室の少し緊張した空気感の中で、河野の逆鱗に触れないように、言葉を選びながらそう言った。
河野は高橋のその言葉を待っていましたというばかりに切り出した。
「高橋くん。その言い草はないんじゃないか?私は、きちんとこの政策案の関係書類を君の机に置いていたがね。」
高橋は、顔が少し引き攣った。
「申し訳ないが進めていてください。少しデスクを見てきます。」
デスクに着いた瞬間、高橋は軽くチッと舌打ちをした。
「しまった、やられた。」
いくつも、重なった書類ファイルの隙間に、こっそりと政策案が挟まれていたのだ。こうなっては、「そんなものは知らない」と言うことは出来ない。むしろ、私の確認不足が指摘されてしまうだろう。とにかく、今はすぐに会議に戻って、この政策の内容を把握しなければならない。高橋はすぐに会議室へ折り返した。
だが、会議室に戻った頃には、定例会議はお開きの直前だった。
「どうした、高橋くん。顔色が良くないようだが。いやぁ、困ってしまってね。君が会議から一時退室した後に、この『主要国道有料化計画』について話したのだが、概ね賛成を得られたよ。どうだろう、次の上層部会議に出すので君も良いか?」
河野は、上機嫌にそう言った。
高橋は、返す言葉が見つからなかった。
「わかりました。私の方でも最終確認を進めます。」
呟くようにそう言った。
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