霧雨に煙る水上都市ヴェネツィア。美しい夜会の裏で、治安は崩れ、空には竜が舞い、霧の向こうでは古の塔が不気味に光り続けています。国を失った将軍、仮面の闇に消える謎の戦士、そして光を描く青年画家。出会うはずのない人々が少しずつ近づいていく予感に、胸が高鳴ります。
重厚な世界観に、風や水の気配、絵の中の光まで見えるような描写が美しく、特に絵に心を揺さぶられる場面は言葉にならない余韻が残ります。緊迫の戦いと、ふっと笑える温かなやりとりの緩急も魅力です。
こんな方におすすめ
歴史風ファンタジーが好きな方/美しい文章に浸りたい方/竜や剣戟にワクワクしたい方/繊細な心の交流を味わいたい方。
母国を一瞬にして失った主人公が、悲劇の連鎖を止めるために敵国へと足を踏み入れていく異世界ファンタジー作品です。
主人公はとある小国の王子。
しかし、継承権は底も底で、母の名誉を守るために同盟国の騎士として武勲を挙げ続けていました。
そんな主人公に、悲劇が訪れます。
同じ小国ながらも由来不明の古代兵器を有する敵国が、前触れもなく攻撃を行ったのです。
母国は一瞬にして消滅。仇を取りたくても、例え大国でもむやみに逆らえない圧力が兵器にはあります。
そのため同盟国の皇帝は、あえて主人公を敵国との窓口に用いることにしました。
彼に求められているのは、万が一にも再度の兵器使用を防ぐこと。
そして、可能なら兵器そのものを使用不能に追い込むこと。
復讐心を隠しながら、主人公は冷静に調査を続けます。
果たして、彼の復讐は完遂されるのか。
ぜひ読んでみてください。
こんなにも色彩表現が豊かで、満ち足りた静を描いた作品を、私はカクヨム上で他に出会ったことがありません。
光の温かさや柔らかさ、陰り方、移ろい、そのすべてを余すことなく伝えようとする圧巻の表現力は、情景を実に解像度高く映し出します。
そうかと思えば、息を飲む暇すら与えさせないようなハラハラとするようなスピード感溢れる戦闘シーンが入るなど、圧倒的な動のアクションもまた見事です。
こちらは闇に覆われた場で行われているというのも、上記の光景との対比となっていて、実に上手いと唸らされます。
気付けば、完全に引き込まれ……骨太な作品であるにもかかわらず、がっつりと一気読みさせられてしまいました。
とにかく深く物語に浸り、没入感を得たいという方、是非とも本作をお読みください。
そして、その巧みな情景の魔術に驚いてください。