剣星のアンタレス
平井賀人
第0話 プロローグ かみの薬
学生時代のある日――。
アンジェリカ・バレンタインは友人のシャルディア・リーガルに呼ばれ学園の実験室にいた。
「どうしたのシャルル? 急に呼び出したりして?」
「にゃっはっはっは!! よくぞ来てくれました!! ついに、ついに完成したのだよ!!」
「何が完成したの??」
「《かみの薬》だよ。」
「神の薬??」
「さすがマスター、ついに完成したのね。」
アンジェリカの手に持っていた携帯端末から擬似的な少女の声がした。
名はベータ。
シャルディア・リーガルによって作られた自立思考型AIでありアンジェリカの相棒だ。
「ふっふっふっ、ベータ、私はついにやってしまったよ。全く、自分の才能が怖いね。」
「それでシャルル、神の薬って何なの?」
「私が説明するわ。神の薬。それは賢者の石、又は不老不死の薬とも呼ばれているわ。」
「えっ!! そんなすごい薬を作ったの!?」
「いや、実は何も作ってないんだけどね。」
「作ってないんかい!! ……まぁ、いくらシャルルが天才って言われていてもさすがにそんな大層な薬は無理よね。」
「にゃっはっはっ。私の辞書にも不可能はあったのさ。まぁ、わざわざ呼んだのはただ一緒にコーヒーが飲みたかったからなんだよね。はい、どうぞ。」
そう言うとシャルディアは実験室らしくビーカーで作られたコーヒーをマグカップに注ぎアンジェリカに差し出した。
「アハハッ、シャルルでも不可能はあるのね。でも安心したわ。何でも作っちゃうから本当に作っちゃったのかと思ったわ。」
アンジェリカはシャルルから渡されたコーヒーを飲み安堵の表情をした。
数分後――――。
「ぎゃ――――!!!! なんか髪の毛伸びてきてるんだけど!?!?」
「にゃ――っはっはっ!! 《髪の薬》大成功!!」
「計画通りね。さすがマスター。」
シャルディア・リーガル。
彼女は超がいくつも付くほどの天才であるがアンジェリカを使い度々人体実験を行うマッドサイエンティストであった。
「早くなんとかしなさいよっ!!!」
「にゃっはっはっ、まだ戻る薬は作ってないんだよね。めんご。」
「『めんご』じゃっな――――い!!! どうするのよこれ!?!?」
「大丈夫よ。落ち着くまで伸ばして切れば元通りよ。」
「あっ、それいいね。元に戻る薬を作る手間が省けるよ。さすがベータ。んじゃ、アンジェ、伸びきるまで待っててね。ちょっとトイレ行ってくるから。」
「うがっ――――!!! あんたら人をなんだと思ってるのよっ!!!」
それから数分後、アンジェリカの髪の毛は伸びるのを止めシャルディアに元の長さまで切ってもらい事なきを得たが、伸びた髪の毛は実に数十メートルにも及び実験室中アンジェリカの髪の毛で埋め付くされたのであった。
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