裏組織最強の男は呪われ王女に恋をする
シャルねる
第1話
「ご苦労だった
「はい」
そう言われ0は部屋に戻り直ぐに眠りにつく。
眠れる時に眠っておかないと仕事が長引いた時眠気でくだらないミスをする可能性があるからだ。
そして朝覚醒していきすぐに朝食を終わらせると昨日の部屋に入る。
「失礼します」
「ああ、昨日はよく休めたか?」
「はい、十分すぎるぐらいには」
「そうか、依頼は分かってるな?」
「はい、ロザーヌ王国が秘匿している重要なことを探り、わかり次第関係者と国王、場合によっては他の王族も殺すことです」
「分かってるならいい、身分については王女さんの護衛としてこっちで準備しておいた、この手紙を城の門を警備しているやつに渡せばいい、それとそっちの紙にお前のことを書いといたからそっちは自分で読め、連絡手段はいつも通りだ」
「わかりました」
敬礼し部屋を出ようとするが呼び止められる。
「忘れてたがお前の名前は、ゼロ・グラーだ」
「わかりました」
今度こそ部屋を出る0......ゼロ。
「おっ、0また仕事かぁ?」
「ああ、そうだ」
「上に信頼されるってのも大変だねぇ」
「俺に出来ることをしているだけだ」
「ふーん、まぁせいぜい死なないように頑張れよ」
この馬鹿っぽいのは
そしてさっき渡された手紙じゃない方の紙を読む。
「俺は今回魔術と剣を両方使えるという設定なのか」
設定にもとずいて剣型の杖を持っていく。
年齢は18歳。
そして白髪を黒に変え、目の色を赤から黒へ。
持ち物には適当な着替えと金貨数枚。
暗殺に使うかもしれない道具などは、万が一バレると厄介なので後で持ってきてもらう予定だ。
「こんなもんか、後は元孤児で15歳に養子として迎えられた設定だから口調も丁寧にしようと頑張ってるがたまにボロが出る感じでいいか......いや、俺の護衛対象の王女の性格にもよるか」
なんで元孤児なんて設定にしているのかはゼロには分からなかったが上がそう判断したのならなにか理由があるのだろうと思い受け入れる。
「よし、行くか」
何日かかけ王宮の前に辿り着く。
そしてゼロはオドオドした様子で門の警備をしている男に話しかける。
「あ、あの......」
「なんだ?」
「こ、これを......」
ゼロは手紙を渡す。
そしてその手紙の紋章を見た男はゼロに哀れみの視線を向ける。
「そうか、お前が......話は聞いている。上の者を呼んでくるから待ってろ」
ゼロは男の視線が気になったが怪しまれているわけではないようなので大人しく上の者を待つ。
「こいつか?」
「はい」
「そうか、お前も災難だな」
「災難?」
「いや、なんでもない、ついてこい」
そう言って王宮へと歩き出す。
そしてそんな男の様子を見てゼロは組織から事前情報を渡されていなかったことを思い出す。
「何してんだ? さっさと来い」
「はい」
理由を考えようとするも男に呼ばれてしまう。
情報がなかった件は気になるが今は王宮の構造をなるべく覚えることに専念しようと思うゼロ。
わざとらしくキョロキョロするゼロ。
「そんなに王宮がめずらしいか?」
「はい! こんな所はじめて来ましたよ!」
「まぁ、そうだろうな」
そう言って男は豪快に笑う。
そしてもちろんゼロが物珍しそうにしているのは元孤児という設定からだ。いくら貴族に養子として迎えられていようが王宮をめずらしがらないわけがない。
コンコン
男が扉をノックする。
すると中から入れと低い声で言われる。
「失礼します!」
「し、失礼します」
最初がゼロを連れてきた男で後のがゼロだ。
中に入り顔を下に向け片膝をつく。
そして王からの許可が出たので顔を上げる。
そこには髭が立派な40歳後半ぐらいの男が玉座に座っていた。
その隣には50歳前半ぐらいの男が控えていた。
そして王を守るように騎士が待機していた。
「そなたがあやつの護衛をしてくれるとな」
「は、はい! 精一杯頑張ります!」
「うむ、ではその者を連れて行ってやれ。多少雑でも構わん」
そうゼロを連れてきた男に言う。
男は最後の言葉に心底安堵していた。
そしてゼロは男に案内される。
「あの、陛下の最後の言葉は?」
ゼロは思い切って聞いてみることにした。
男は驚いた様子でゼロに顔を向ける。
「お前自分の護衛対象の事も知らないのか?」
「恥ずかしながら」
「はぁ、まぁ知ってたらこんな仕事しないか......普通に考えてみろ元孤児のお前が王宮で仕事が出来ると思うか?」
「いえ」
「だろ? だからその護衛対象は元孤児でもいい、いや、むしろ元孤児の奴の方が都合がいいんだよ。普通の王族に元孤児の護衛をつける奴はいねぇよ。ちなみにお前の護衛対象はある程度の地位の奴しか知らねぇ存在だ」
「そんなこと教えてよかったんですか?」
「これもお前を案内するやつの仕事なんだよ。だからその護衛対象の事は誰にも言うんじゃないぞ、命が惜しいならな」
「俺がいる時点でバレるのでは?」
ゼロは護衛として来ている。
その護衛が誰も護衛せずに出歩いていたらおかしいだろう。
この仕事は休日付きなのだから。
「暗黙の了解ってやつだ。お前のことは触れないようにと陛下から言われている。そもそも王宮に来ることはあまりないだろうしな」
「そうなんですか。それで、どこに向かってるんですか?」
そんなことを聞くのは男が森に歩いて行くからだ。
「着いてくればわかる」
そう言われたのでついて行くとやがて男が口を開く。
「あの屋敷だ」
「......ほんとに人が住んでるんですか?」
「言いたいことは分かる」
ゼロが見ている屋敷は公爵が住んでいるような屋敷だ。
ただ、違う点はカーテンが全て閉められ人の気配がまったくしない事だ。
「王族なんですよね? 使用人もいないんですか?」
「いない、お前が頑張るんだ」
「えっ、俺は護衛じゃ......」
「あの王女に護衛なんて必要ない。誰も知らないし知ってたとしても命なんて狙わねぇよ。護衛という名の使用人だ」
そういい屋敷からまだ離れているのに歩みを止める男。
「あの?」
「ここからは一人で行ってもらう」
「え?」
「悪いな、俺だって行きたくないんだ」
「......陛下の言葉はそういうことですか」
「まぁな、じゃあ頑張ってくれ」
男は走り去っていく。
まるで一秒でも早くこの場を去りたいかのように......実際に去りたいのだろうが。
「王宮の警備は結界が張ってあって人間じゃないと出入りは厳しい。この連絡用の鳥じゃあ上手く連絡出来ないからわざわざこんな所に住んでいる王女の護衛になるように仕向けたのか」
ゼロは隠していた鳥に手紙を咥えさせ飛ばす。
鳥が飛んだのを確認したゼロは屋敷に向かって歩き出し屋敷の扉をノックする。
ただ返事はない。
扉を引くと開いた。
「......不用心ですね」
一応聞かれている可能性があるので口調を戻す。
「あの〜」
返事はない。
ただ上で人が動いたのが分かった。
屋敷の外からじゃわからなかったが中に入ると人が一人いることに気がついた。
「お邪魔しまーす」
そう言ってまずは一階の扉をノックして開いていく。
上にいるのは分かっているが何故ここにいるのが分かったのかと聞かれないためだ。
そして二階の人の気配がする所の扉をノックする。
すると、
「帰って」
「そういう訳にはいきません。俺はあなたの護衛兼世話係として来ましたから」
「私に護衛なんて必要ないわ。世話係も」
「何故ですか?」
「今まで来た人だって皆私を見て逃げ帰ったわ。あなたもそう、だから帰って」
「一度中に入れてください。俺は逃げ帰ったりしません」
「......開いてるわよ、見たらさっさと帰って」
「では、失礼します」
そう言い部屋に入ると長い赤い髪に赤い瞳の身長150cmぐらいの胸は控えめな女の子がいた。
「……」
「怖い? 醜い? 不気味? ほら、早く帰ってよ」
「か、かわいい」
「え?」
ゼロは女性に対しての耐性はつけられていた。ただ、誤算があったとするのなら、耐性をつける為に使われた女性の全てが巨乳で可愛いというよりは美人よりな女性だったことだろう。
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