貰ったギフトは育成でした。

焔聖來

第一話 貰ったギフトはクソでした(前編)

「次,ノスタルジア。」

ここは12になる少年少女に贈り物ギフトを送る教会。そんな場所に俺はいた。兄は異能剣術という剣士には欠かせないギフトを5年前に貰った。大体,うちの家系はみんな剣士だ。心配することなんて微塵もない。

「ノスタルジア,君への贈り物はこれだ。それを最大限に生かせるよう,努力しなさい。」

胸を張り,贈り物を受け取る。

「ノスタルジア,お前の贈り物は?」

「今ステータス開くから待てって。」

どうせ兄と同じで異能剣術だろう。そう思っていた。


ノスタルジア・エーリック(12)

種族:人間  贈り物:育成

剣術:B-

魔法:B+

勉強:C


…嘘だろ?どこにも,どこにも異能剣術の文字がない。育成だって?そんなんじゃ剣士にはなれないじゃないか。

「お前,異能剣術じゃないのか。」

「…。」

言葉が出ない。これじゃ,家族に見せる顔がない。俺はエーリック家の子じゃないのか?

「ノスタルジア…ごめん,自分の贈り物をノスタルジアにあげれたらよかったんだけど。」

友達のステータスには異能剣術と書かれていた。なんだよ。ひどいじゃないか。

「まぁ,頑張れよ。」

友達は俺のステータスを見て笑い,帰ってしまった。



「ただいま。」

家に帰ると兄と両親が座っていた。

「贈り物は異能剣術よね?」

「違うよ。」

嘘はつきたくない。だから俺は嘘をつかず,両親,兄に贈り物は育成だったことを話した。家族ならわかってくれると思ったから。

「ははっ!お前捨て子だったんじゃねぇか?育成って(笑)」

「何かの間違いなんじゃないかしら。」

欲しかった反応とは違った。兄は腹を抱えて笑い,父は何も言わず部屋に戻った。本当に自分は捨て子だったのかもしれない。

「神託に話をしてくるわ。」

「お前そんな贈り物なら冒険者になれよ。」

家が暗く見えた。いつしか俺は自分の部屋に行き,荷物をまとめて窓から飛び出た。


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