【詩集】革命のエチュード

藤堂こゆ

為政者

オルガンの音が聴こえる。荘厳なオルガン。天に響くオルガン。

私はその音に聞き入る。名も無き奏者の奏でるその音に。

私はただ座っている。ゆったりと、目を閉じて。あるいは瞑想。あるいは諦観。

外からは怒号が聞こえる。市民の怒号。怒り、悲しみ。

ああなんという破滅の音。

オルガンは私の居どころを知らせ、無垢な民の怒りを掻き立てる。

間もなく扉は破られるだろう。

荘厳なオルガン。純粋な怒号。

ああなんという美しき音。

私の口許に微笑が浮かぶ。

最期の瞬間ときをこうして迎えられること。

私は大変嬉しく思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る