第5幕 変わる文芸部

 合同体育祭は盛況で終わったよな。僕や美玖も出場種目で頑張ったし。公立高が最後の総合リレー走を勝利して逆転したしね。楽しかったよ。


 けどさ……私立高の生徒会席だけ異質だったな。文芸部うちの部長もだけど、公立高の女子たちが群がってさ。二枚目だったけど……美玖もかなり視線を向けててムッとしたよ。



 とにかく日常に戻って……文芸部は羽田野ファンクラブと化してたな。文芸部だけでもなかったけどさ。部長を中心にキャイキャイ女子部員が騒いでいたよ。


 でも男子部員は二分されてたね。我関せず派と女子部員が彼女で面白くない派に。美玖まで加わってたから僕も面白くなかったけど。一番は部長の彼氏だった副部長だったろうね。


『お隣へ文芸交流に行って来るわ』


 次の週、部長筆頭に女子部員たちは隣の私立高へ出かけたよな。数人の男子部員が止めてた。副部長もね。その声を物ともせず、振り切ってお隣へ出かけたんだ。


『褒めてくれないんだもん』


 美玖も行くのか?――その返事に反論できない僕を置いて美玖も出かけたよな。羽田野は美玖の初エッセイをべた褒めしたんだっけ。体育祭準備委員会で知り合った私立高の文芸部部員の伝手だという話だったね。


 それからしばらくして、女子部員を彼女にしてた男子部員が次々退部したよな。フラれた相手と一緒に居られないって。フッた言葉は色々らしいけど、何故かが引き合いに出されたって。


羽田野ヤツには気を付けろ』


 だから副部長は悔し気なしかめっ面で僕に言ったんだよ。


 また少しして、女子部員たちは羽田野が好きだと言うこうを焚き始めたよな。僕は馴染めなかったけど我慢したさ。ただ我関せず派の男子たちも辞めていったな。臭いを我慢できなかったんだ。男子が僕だけで、肩身が狭く感じたよ。



 夏休み前、封筒を手に美玖が険しい顔をしてたよな。誰から?何が書いてた?――問いかけても上の空でさ。


『――大丈夫だよ』


 やっと気づいたけど、不意打ちを受けた表情で問い掛けをはぐらかしたね。そそくさと立ち去る美玖の瞳は濡れて見えたよ。泣くほどに驚いたの?


 その夜に美玖から色々提案されたね。寝室内のプライベート空間を分けようって。最後に寝床を分ける話を出されて我慢が効かくなったよ。子供のようで恥ずかしかったけど、駄々っ子に美玖が折れてくれたよな。ただ夜の交流はしないって断じられて凹んだんだ。仕方ないから寝入った美玖にキスして我慢したよ。

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