第3話

まーくんは私と感情を共有しているかのように寂しげに笑う。だけど決してその気持ちを口には出さない。



「連絡くれたら迎えにくるから」


「うん」


「あと、」


「ん?」


「……いや、なんでもないよ。楽しんでね。またあとで」


「うん、ありがと、まーくん。またね」




にこりと笑うとまーくんは私の頭にポンと手を置いて優しく微笑んだ。


彼は名残惜しそうに目を細めてから軽く手を振り、私に背を向けて来た道を引き返して行く。徐々に見えなくなって行く背中を目で追っていた私の後ろに気配が近づいて振り返る。



そこには私とこれからデートしてくれる大好きな親友が私が視線で追っていた彼をニヤニヤした顔で見つめていた。



「良い男じゃん」


「私には勿体無いぐらいにね」


「珍しいね、そんなこと言うの。もしかして、本命?」


「まさか」



彼が消えていった方向を一瞥して、そっと目を逸らした。

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