第一章
寂しがり屋の兎
第2話
ぶらぶら、と揺れる繋がった手。
隣で大好きなスイーツの話や今度行く約束をしている水族館の話をにこやかにする“彼”に時折、頷く。
「あ、」
「友達?」
「うん」
駅前にいる彼女を見つけた。少し先にいる彼女をじっと見つめていると、携帯の画面に集中していた彼女が顔を上げて私達の方を見て軽く手を上げたから、私も手を上げて大きく振り返す。
そんな私を隣で見ていた彼がゆっくりと立ち止まった。
私も同じように足を止めると彼にクイッと繋がっている手を引かれて、彼と向き合う形になる。そして彼は繋いでいなかった私の小さな手も掬い上げて手を重ねた。
「愛結ちゃん」
「ん?」
「大好きだよ」
「うん、ありがと。まーくん」
彼、
まーくんは一度ぎゅっと力強く繋がった両手を握ってから名残惜しそうに私を離す。宙に浮いた手に微かに温かさが残り、寂しくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます