第一章

寂しがり屋の兎

第2話

ぶらぶら、と揺れる繋がった手。


隣で大好きなスイーツの話や今度行く約束をしている水族館の話をにこやかにする“彼”に時折、頷く。



「あ、」


「友達?」


「うん」



駅前にいる彼女を見つけた。少し先にいる彼女をじっと見つめていると、携帯の画面に集中していた彼女が顔を上げて私達の方を見て軽く手を上げたから、私も手を上げて大きく振り返す。



そんな私を隣で見ていた彼がゆっくりと立ち止まった。


私も同じように足を止めると彼にクイッと繋がっている手を引かれて、彼と向き合う形になる。そして彼は繋いでいなかった私の小さな手も掬い上げて手を重ねた。



「愛結ちゃん」


「ん?」


「大好きだよ」


「うん、ありがと。まーくん」



彼、新島真紘にいじままひろくんは私と目が合うと嬉しそうに顔を綻ばせた。



まーくんは一度ぎゅっと力強く繋がった両手を握ってから名残惜しそうに私を離す。宙に浮いた手に微かに温かさが残り、寂しくなった。

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