259200秒

　似たような作品があったかもしれない。クリアしても、また１面に戻されてしまうゲームのようでもあり、終わりは見えない。
　でも、エンドロールを見る為に、また１面から始める。彼女の両親も、主人公に勇者役を託したのではないだろうか？

さすふぉーさんの「259200秒」は、年末の3日間という限られた時間の中で、忘れられてしまう記憶とそれに抗おうとする想いが描かれる、切なさと温かさが絶妙に融合した青春物語です。

この作品の大きな魅力は、ユニークな設定とそれに支えられた物語の深さです。「1月1日に記憶がリセットされる」という特異体質を持つヒロイン・有紗が、主人公との関係性の中でどう生き、どう笑い、そしてどう涙するのかが丁寧に描かれています。この設定は一見ファンタジーのようですが、彼女が記憶を失うことに対する不安や恐怖をリアルに感じさせ、読者の心を強く揺さぶります。

また、日常の描写がとても自然で、彼らの掛け合いや細やかな仕…続きを読む