3回目の入院

 手術しなくても大丈夫かと思って、食事とか気を付けてたこのころ(※)11月中旬にまたまた倒れてしまった。この時は緊急外来にかかった後に外来へ行ったため、念のため入院セットはある程度揃えて向かった。これが見事当たって、半年で3回目の入院になってしまった。今回は外来を受ける直前。運が悪すぎ。


 ここまでくれば、看護師も医師も「おかえり」状態になる。ほかの入院患者で前に入院が一緒だった人もいたが、透析と別の病気で定期的に入院しているとか特殊な事情がある人だけ。普通の人は何度も短期間で入院しない。

 さすがの偉い医師も「今度こそは虫垂取ろうな」と脅してくる。事実、金曜に検査して異常があったら緊急手術するといわれてしまったのだ。しかも親が帰った後に。緊急手術は免れたが、次回は外科に入院して虫垂取ることが確定してしまった(それまでは消化器含めた内科)


 入院中に家庭内でトラブルが2件起きてしまった。1つ目は母が詰め物が取れてしまい、抜歯することになったこと。もう1つは老人ホームにいた叔母が緊急入院と手術したことである。ほぼ同時期に起きたのでどっちが先かは忘れてしまったが。

 まず、母親が急に歯痛に見舞われた。詰め物が取れたらしいがとてつもなく痛いらしい。急いで土日診察可能な歯科医院に駆け込んだが、痛み止めが効かないらしい。しぶしぶ、前に通っていた歯科医院へ行ったら抜歯しなければならないらしい。そうなると消毒など時間がかかってしまう。そうしている間に2件目のトラブルが緊急発生してしまった。

 今度は叔母がいる老人ホームからの電話だった。「腰が痛いと本人が言っているが、どうやら腹痛らしいので近くの病院へ緊急入院する」そうしたら、午後にもかかってきて「腹膜炎の疑いがあるので緊急手術する」ということだから大騒ぎ。朝は比較的近いいとこ(母からみたら)に頼めたが、手術になったら行かなければならない。叔母は身寄りがなく、母親が老人ホームの手続きをすべて請け負っている。夕方だったが、1時間半かけて入院先の病院へ向かった。病名は十二指腸で、大腸の一部が破れてかなりやばかったらしい。

 なんだかんだで頼りの綱だった母親がダメになってしまった。父親? 亭主関白で子供のころから子育ては女の役目と決めつけて放置していたレベルである。娘が倒れても知らぬふりだ。その代わり、高校と大学は口封じを約束したものの、すぐ近隣に言いふらしてばらすという悪事をやらかしているが。


 もう一人きりは慣れているし、入院も慣れている。またまた抗生物質と下痢に悩まされながら2週間ほど入院する羽目になった。


 ある日のこと。相互フォロワーであった小寺無人こでらなきと先生が、2023年以降にデビューしたミステリ作家のスペースを開くという。そこにはメフィスト賞やこのミステリーがすごい!大賞、江戸川乱歩賞など受賞した9名が集まるという豪華なイベントだ。2回目の入院で知った山口先生も参加される。この時は大部屋も1人きりになり、消灯も22時だったこともあり、看護師に相談して参加できるよう調整してもらった。

 スペースはいろいろと参考になった。デビューのきっかけや次作のこと(機密で言えない場合はパス)などが語られていた。9名のスピーカーによる1時間半の対談はあっという間だった。

 その2日後ぐらいである。昔、ネタを出してボツにした阿部と松原のコンビをふと思い出した。そして昔起きたセキュリティインシデントも。――そう、「すずちゃんのヘルプデスク事件簿 オリジナル1」のアイデアである。気づいたときにはメモ帳とペンでアイデアをひねり出し、親に頼み込んでルーズリーフをお願いし、Facebookの知り合いに技術的な依頼をし、Nolaをみつけて執筆し始めたのは。そして多くの人に読んでほしいと思ってカクヨムに登録、小説をアップすることになった。今の私ができた瞬間であった。


(※) 1回目の退院後は一切お酒は飲まなくなったし、脂っぽいものや辛いものは避けるようになった。ただ病院食でカレーや麻婆豆腐は出ていたが。甘いものはばい菌になるためチョコとかも控えてた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る