『‘’通勤‘’ ~番外エピソード』

やましん(テンパー)

『‘’通勤‘’~番外エピソード~火星バスの試練』


 火星バスは、極めて安全な乗り物とされている。


 飛行機と同様、一番危ないのは、大気圏からの離脱までと、大気圏突入から着陸までである。


 火星からの離脱は、地球よりも楽である。


 しかし、着陸は、まあ、つまり、落っこちるようなものだから、危なくない訳がないのだが、昔に比べたら格段に楽になった。


 しかし、宇宙空間内が、まったく安全というわけでもない。


 ここにきて、なぞの物体が、多数、遥かな宇宙空間から、さ迷ってきたことがわかったのである。


 小さな破片みたいなものらしいが、正体はまだよく分からないらしい。


 太陽系外デブリ、と呼ばれる。


 発見されたのは、3年前らしいが、まだ公表はされていない。


 いたずらに、民意を刺激したくないという、地球政府らしい理由である。


 ぼくが、その情報を聴いたのは、奥さんであり、上司でもある、オールマイティー司書さまからである。


 ぼくは、火星図書館の司書であり、門外漢なのだが、さすがに教えてくれたのである。


 と、いうのも、どうやら火星バスに危険が及ばないとは言えない、ということになってきたからである。


 万が一、事故があったときには、乗客を落ち着かせる役割があるからなのである。


 助ける役割ではない。


 その物体に実際にぶつかる可能性は、地球上で落ちてきた隕石にぶつかって死に至る可能性が、160万分の1、という計算もあったが、それよりはるかに低いだろうとされた。


 しかし、当たったら、たまったものではない。


 ぼくは、宝くじには当たらないが、望まない事態にぶつかる確率は高いように思っていた。


 先の事件も、まだ、解決していないのに(作者のせいである)、さらにそんなのにぶつかるのはまっぴらである。


 しかし、そうしたものは、ぶつかるのだ。やはりね。


 やっと、ジラの異世界から帰ってきたあとの、初出勤となった。


 その朝、つまりぼくは、火星に向かっていたのである。


 すると、とんでもない速度で、なにかが飛んできたのだ。


 あまりに早すぎて、運転手さんのセンサーが鳴った時には、そいつは、もう目の前にいた。


 目の前にいた!


 しかし、ぶつかるはずのものは、ぶつからなかった。


 まさに、瞬間停止したようだったのだ。


 バスは、当然ながら、その場から動けなくなった。


 宇宙でその場を維持するのは、動くよりもたいへんである。


 間も無く、宇宙保安部隊がやってきた。


 ぼくたちは、足止めとなってしまったわけだ。


 『やれやれ、やはり、なにも起こらないなんてことは、あり得ないわけだ。』



 それで、保安部隊の探査が始まったすぐであった。



  ばかーん!   🎊



 と、その、謎の物体が、破裂したのだあ!


 『わあ😱』


 バスのなかはもちろん、保安部隊も騒然となった。


 ああ、ぼくたちは、見た!


 なんと書いてあるのか分からないが、なにやら派手なビラが飛び散り、でっかい垂れ幕が、宇宙空間に花開いたのである。




      😡😡😡😡😡😡😡😡


 

 地球政府は、いまだに、その内容は公開していない。


 秘密主義もそこまでいったら大したものである。


 オールマイティー司書さまは言った。


 『まあ、まだ、解読はできないようよ。でも、たぶん、デパートの売り出し広告みたいなものだろうとか。ちらしには、たくさんの商品が書かれていたらしい。図書館に一枚欲しいと、申し出てあります。』


 『なんで、公表しないんですか?』


 『地球より安いと分かったら不味いらしいわ。地球は、異常物価高だからね。』






 😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋😋








        🙇 おしまい











 


 


 


 

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『‘’通勤‘’ ~番外エピソード』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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