カクコン10を盛り上げるために公式が企画した「お題で執筆!! 短編創作フェス」。示されたお題を元に、期間内に短編を書き上げてカクコン10短編部門に応募すると抽選で図書カードがもらえるというイカした企画ですが、仕事しながら長編の執筆に追われる身にとっては参加したいのに時間がないという鬼畜のような企画でもあります。
初回のお題は「試験」。この企画に参加すること自体が試験を受けているようなものなのに、さすがカクヨム公式、なかなか辛辣です。
そんな企画に参加したのが本作。歴史上、最も有名にして過酷な試験と言えば中国の「科挙」ですが、まさかこの企画に「科挙」で乗り込む作品があろうとは。お題発表からきっちり一週間で完成させていますが、フィクションで読者を惹きつけつつ、そこに史実を織り交ぜ、ラストで読む者を唸らせるという作者の離れ業が堪能できます。
文字数わずか3,002文字。しかし超濃密な3,002字です。科挙を受験する三人の若者が見る「夢」。睡眠時の生理現象としての「夢」から、人生の目標である「夢」につながり、そして歴史はその夢を――。歴史好きなら「ああ、あいつか!」と瞠目するラストは必読。この企画の「試験」には間違いなく合格の一作です。
四谷軒先生の「科挙の夜に見た夢」は、夢と現実が交錯する不思議な物語です。
主人公は二人の巨人が立っている夢を見ます。
そして、目覚めた彼はふたつの人影を見付けるのですが――
彼らとの出会いをきっかけに、その後の歴史が興味深く描かれてます。
四谷先生の豊かな想像力と繊細な描写に感服しました。
これからも応援しています!
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科挙について📚
科挙(かきょ)は、中国の古代から近代にかけて行われた官吏登用試験制度です。
科挙は、学問や才能を持つ者が官職に就くための試験で、非常に厳しいものでした。
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明代の郷試とは?🏯
明代の郷試(きょうし)は、科挙の一部で、地方で行われる試験です。郷試に合格すると、次の段階である会試(かいし)に進むことができました。郷試は3年に一度行われ、多くの受験生が挑戦しました。
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