第二章:魔法学園編

第4話

ここが王立魔法学園。


「でっけぇなぁ。」


想像していた3倍デカかった。

ゲームで何度も見たはずなのに本物を見るとやっぱり違うなぁ。


俺は今日からここで生活するのか。

正直楽しみでしかない。


魔法学校では入学試験の点数が高かった順からAクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラスとクラス分けされている。

主人公は最初はBクラスだが、その他の主要キャラクター達はほとんどAクラスだ。

入学試験で満点だった俺ももちろんAクラス。


たくさん友達作って前世では味わえなかった青春を謳歌してやる。


だけどまずは主人公と仲良くなるところから始めなければ。


主人公はどこだ〜?


おっ。いたいた。

この物語の主人公、ランフェス・フォードだ。

ランフェスの適正魔法は基本属性の炎魔法だが、二学期に起こるあるイベントによって適正魔法を進化させ、炎神を覚醒させる。


炎神ははっきり言ってチートだ。


そもそもかなり強い適性魔法を持っていなければ曲がりなりにも空間魔法の使い手であるガストには勝てない。

どのぐらいチートかというと、極めれば小国であれば10分ほどで国土全体を焼け野原にできるほどの火力とそれに対応するMPが手に入る。


覚醒する前に殺してしまえば良くはあるのだが、そんな物騒なことをしたくはないし、王国を守る騎士たちに捕まってしまう。

うまく逃げたとしても魔法学園に再び戻ってくることは不可能だ。


なので争う前に仲良くしてしまおうと思ったわけだ。


「おーい。君、ランフェス君だよね。」


「は?汚ねぇ手で俺に触れるなよ。」


「え?」


「だ・か・ら、お前みたいなカスが俺に触って来んなって言ってんの。」


えー。まじかー。

実力主義のこの学校で首席の俺にカスとかよく言えるなぁ。

まあ大方CクラスかDクラスの生徒だと思ってるんだろうな。


ここで実力を見せて従わせるのは簡単だけど入学初日から騒ぎは起こしたくないし、こんな性格が悪いやつとはあまり関わりたくないので却下。


こうして『ガストを殺す予定の主人公と仲良くなっていれば殺されずに済むだろう計画』は廃案となった。


それにしてもまさか主人公があんなやばいやつだとは思わなかったなぁ。

プレイヤーが操作していないとあんなにもひどくなるのか。


なんにしろこれで主人公と仲良くなることは無理だとわかったから、これからはただひたすらに実力をつけて負けないようにするしかなさそうだな。



+ + + + + +



「1ーAの皆さんこんにちは。皆さんの担任を務めることになりました。クレハ・グリードです。皆さんは入学試験で上位に入った方々なのでこれからもB、C、Dクラスの人達に追い越されないように励み、また、他クラスの手本となれるような生活を心がけましょう。 それでは1番から自己紹介を始めてください。」


魔法学園では番号は名簿順ではなく、成績順で決まる。

なので1番は俺だ。


「1番のガスト・トライセルです。好きなことは魔法の研究と練習です。よろしくお願いします。」


「2番のライト・セルスだ。好きなものは特にない。まぁよろしく頼む。」


「3番のセイナ・フィオ・カーリーよ。好きなことは強者と戦うこと。以上。」


この2人は物語の中でも最も重要な立ち位置にいるキャラだ。

セイナは『剣と魔法のアルカナ』のメインヒロインで、カーリー伯爵家の長女、適正魔法は炎魔法の上位互換の炎帝(炎神よりは弱い)、数いるヒロインの中でも最も主人公と生涯をともにするルートが多いキャラだ。


ライトは主人公の一番の友達となるキャラクターで、適正魔法は雷魔法の上位互換の雷帝、不器用で人と話すのは苦手だが、根は優しいいいやつだ。


なお、俺とこの二人は全員魔法検査は100点、入学試験の点数の差は学力検査でしかついていない。

毎年魔法検査で100点を出すのは1人いるかいないか。

つまりこの2人もかなりの実力者である。(それでも負ける気はしないが、)


その後、他のクラスメイトも自己紹介を終え、あとは1限目まで自由時間となった。


「あんたがガスト?なんかひょろっとしてて弱そうね。魔法検査で100点を取ったらしいけど大して魔力も感じないしあっちのライトのほうが強そうね。まあいいわ。あなた私と決闘をしなさい。」


急にセイナから決闘をしろと言われた。

初対面からのタメ口&相手を見下した態度、確か原作で主人公と初めて出会ったときもこんな感じだったなぁと思い出す。


ちなみに決闘とは魔法学園の校則でも定められている公式戦のことだ。

具体的に校則では、先生の立ち会いのもと行うこと、強制的に相手に決闘をさせない、相手が気絶、または敗北を認めた場合に勝利となる、他の生徒を巻き込まない、等の決まりが定められている。

基本は相手に言うことを聞かせたい場合などに使われることが多いのだが、今回のように力試し的な使い方をすることもある。


初日から面倒だしはっきり言って決闘は受けたくないが、ここで受けなければ負けるのが怖くて辞退したと思われてしまうだろうし、舐められたらそれはそれで面倒だ。

しょうがない、受けるか。


「ああ、別にいいけど。あ、クレハ先生、審判お願いします。」


「よし、決まりね。それじゃあ校庭まで移動するわよ。」


「さっさと終わらせたいから本気出すけど泣くなよ。」


「随分舐められたものね。でも私が勝つから問題ないわ。」


「じゃあ両者準備はいい?それじゃ、始め!」


試合開始とともにセイナは高速で突っ込んできた。


「フレイムソード、からのファイアウォール!」


「メタスタシス」


「え?」


「雷轟」


ズドォォン


「っあぶな!」


「まだまだ! メイキング、からのメタスタシス」


「次はくらわないわよ! 土壁」


かかったな!


「爆炎」


バボォォン


「きゃぁぁぁぁ〜」


「セイナ・フィオ・カーリーの気絶によりガスト・トライセルの勝利。」


ふう。終わったな。

メタスタシスはやっぱり所見の相手には刺さるな。

だけど見切ってしまえば対策のしようが無いわけではないのでもう少し速度を上げるかもっと連発できるぐらいMP上限を上げるかしないとな。


まあでもこれでセイナも突っかかってくることはないだろう。

しばらくは自主トレしながら憧れの魔法学園生活を平和に堪能しようかな。



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初めての小説なのでよくかけているかわかりませんが、もし面白ければフォローや♡ぜひよろしくお願いします。

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